「みずほ」1万9000人削減を迫った「AI」と「統合後遺症」

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ライバルに周回遅れ

 実は、みずほFGの発表より先の今年5月に三井住友FGが4000人、9月に三菱UFJFGが9500人の“リストラ”を発表していたのである。三井住友銀行の行員がこう語る。

「みずほと一緒にしてもらっては困ります。うちや三菱UFJが公表したのは業務量の軽減であって、従業員を減らすわけではありません」

 確かに、2メガバンクトップの発言を振り返ると、事務作業のデジタル化や、AIの活用などで業務量を減らすと口にはしているが、佐藤社長のように“従業員を実数として減らす”とは言っていないのだ。

 だが、業務量軽減に成功すれば、その仕事を担って来た行員が不要になるのではないか。三菱東京UFJ銀行の支店長が解説するには、

「業務量の軽減は主に営業店が対象なので、テラーと呼ばれる窓口業務の行員の数は少なくなるでしょう。一方、今でも法人や富裕層の顧客を担当する営業マンの数は十分とはいえない。うちと三井住友はテラーを減らして、営業マンを増加させることで収益力強化を図ろうとしているのです。これもシステム開発を進めていた結果。他人事ながら、みずほは大丈夫なのでしょうかね」

 実は、みずほFGは5年前に着手していた旧みずほ銀行、旧みずほコーポレート銀行、旧みずほ信託銀行のシステム統合が未だに完了していないのだ。

「システム統合は来秋を予定しています。うちはシステム面だけでなく、店舗の統廃合も他のメガバンクに比べて周回遅れ。合併で大所帯になり、旧行意識の強い役員たちの権力闘争が招いた後遺症でしょう。佐藤社長は、希望退職は募らないといっていますが……」(先のみずほ行員)

 今期中間決算の連結当期利益は、ライバルが軒並み前年同期比で増益だったのに対して、みずほFGだけが11・5%減。佐藤社長が前言を翻さなければいいが。

週刊新潮 2017年11月30日掲載

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