30代「東芝」社員の転職日記 残す1社の結果は、そして迎える“さらば東芝”

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第2弾「東芝」30代社員のトホホな「転職活動日記」(下)

 将来に不安を覚え、今年1月から本格的に転職活動を始めた東芝の30代中堅社員氏の日記である。2回目の面接に臨んだ電機メーカーでは、面接官との会話は盛り上がり手ごたえを感じたものの、異業種メーカーは最終落ちの憂き目に。新たに恋人ができるも、転職活動中であることは伏せたまま。電機メーカーから内定をもらえなければ、東芝に残らざるを得ないと、不安を募らせる。

 ***

〈8月25日・金曜日 相変わらず、新聞報道は「東芝メモリ」の売却先の記事一色だ。会社の命運を左右する重大案件であることはわかるが、誤報ばかり。少なくとも、上司や同僚の話を総合すると、新聞社の記事は正確とはいえないのではないか。社内では、綱川智社長が、東芝メモリ社長を兼務する成毛康雄副社長を説得できずに意見が対立していると囁かれている。東芝メモリ買収に名乗りを上げている米国のウエスタンデジタルとうちとの溝は深く、“訴訟合戦”的な色合いを強めているが、そのほとんどを成毛副社長が主導しているのだという。〉

〈8月31日・木曜日 東芝メモリの売却先を発表する予定だったが、結局何も発表されなかった。新聞には、毎日のように“迷走”の文字が躍る。そもそも、うちが「東芝メモリ」の有力な売却先と考えていたのは、去年シャープを買収した台湾の鴻海精密工業だと聞いている。綱川社長がその話を経産省と、メインバンクへ持って行ったら、こっぴどく叱責されたのだとか。経産省が鴻海にバツを付けた理由は、報じられているような技術の海外流出の防止よりも、シャープ買収で鴻海に面子を潰されたからだ、と。綱川社長が、シャープと違い経産省の意向を無視しなかったのはなぜなのか。〉

――綱川社長が、経産省の意向に従わざるを得なかったのには理由があった。東芝メモリは、東芝全体の営業利益の約9割を占める稼ぎ頭。その虎の子のメモリー事業を売却すると、東芝は発電所建設などインフラ事業に頼らざるを得なくなる。それで“お上”の意向には絶対に逆らえないわけだ。

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