金融のプロはどう見る? マネックス証券松本大社長の「日経平均3万円」予想
様々なリスク要因
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏に聞くと、
「日経平均株価3万円到達という見通しは強気ですが、突拍子もない数字ではないと思います。なぜかというと、株価を決める要素であるPER(株価収益率)とEPS(一株当たり純利益)を日経平均に当てはめた場合、無理のない計算をしても、2万4000円に到達するという結果が導き出せるからです」
としながらも、“ただし”としてこう続ける。
「株価は環境次第で変動するので、アメリカの税制改革の頓挫や北朝鮮への軍事力行使といったことがあれば下落するし、アメリカの景気回復がいつまで続くかという懸念もあります。3万円到達の予想が現実のものになるためには、様々なリスク要因が顕在化せず、かつアメリカ経済が景気回復を持続させるという条件が揃わなければなりません」
無論、松本社長とてリスクについて何も考えていないわけではなく、
「北朝鮮のミサイルはどうなるか分からないし、消費増税も関係してくるでしょう。リスクは常にあります。しかし、我々はトレンドが変化していることを分かってもらうほうが大切なのではないかと考えています」
として、こう語る。
「うちには大槻奈那という、金融機関の分析で世界的に有名なチーフ・アナリストがいます。今後、経済成長は失速するのか。金融危機に陥る可能性はあるのか。バブル崩壊のような事態はあるのか。そういったことが大槻の専門分野で、彼女が検証した結果、そういうリスクはすごく低い、と。また、株価3万円の達成時期については、うちの広木隆というチーフ・ストラテジストが、今の日本の企業収益や予想される来年の企業収益などから導き出しています。このように社内の専門家が集まって検証した結果が、“2019年3月末までに日経平均3万円”ということなのです」
肝心の株価は、松本社長が会見を行った9日に2万3000円の大台を突破して以降、不安定な値動きが続いている。だが、それもこれも3万円達成のための「過程」にすぎないのならば、確かに、一喜一憂する必要はないわけである。
[2/2ページ]