「日経平均3万円」のインパクト… マネックス証券「松本大」社長に真意を聞く
総選挙の影響
では、なぜ今後のトレンドを「長期的に見ると上昇」と断定できるのか。その理由の1つで、今回の“3万円発言”に至るきっかけとして「すごく大きかった」と松本社長が語るのが、10月22日に投開票された総選挙だ。
「この間の選挙でいわゆる左派が分離しました。これは、国会同意人事である日銀総裁人事について、政府側が提案するものに反対する勢力がかなり小さくなった、ということです。日銀の黒田(東彦)さんの任期は来年4月までですが、そこで黒田さんが再任されるか、あるいは別の人がやることになっても、黒田さんのやり方を引き継ぐでしょう。つまり、これから4年間程度は金融緩和が続くことが確認できたわけで、これは株価上昇のためにはすごく大きな要素です」
さらに、松本社長が重要視するのは、約145兆円という巨額の運用資産から「クジラ」に例えられることもある年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)について。3年前、GPIFは国内債券での運用比率を下げ、株式での運用を全体の5割まで高める、との方針を発表。現在のポートフォリオは「目標」に極めて近いものになっている。
「今までの日本においては、与党や政府が株価を上げる方向へ持っていくような政策を実行しようとすると、“金持ち優遇じゃないか”との批判が出て、なかなか前に進まないということが多かった」
と、松本社長は語る。
「ところが、GPIFの資産運用の半分が株式ということになってくると、年金、つまり国民の財産を守るためには、株価の上昇が必須。となると、株価が上がることは金持ち優遇ではなく、日本国民全体のためになることで重要だ、と皆が考えるようになる。つまり、我が国において、“株価が高いことは良いことだ”というコンセンサスができやすくなるわけです。そうなれば、政府は株価を上げるための政策をより実現しやすくなります」
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