まるで“異種格闘技” 「熊谷組」「住友林業」資本提携のワケ

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資本提携が問題?

 ゼネコンの幹部は、両者の株価下落は提携の方法に原因があると指摘する。

「ここ数年、準大手ゼネコンとハウスメーカーが“タッグ”を組むケースが相次いでいます。例えば、大和ハウス工業とフジタ、積水ハウスと鴻池組、住宅部門を持つパナソニックと松村組など。ですが、今回の提携は他のケースとは明らかに違う点があるのです」

 それは資本提携だという。

「これまでの提携は子会社化や、一方だけが出資するケースがほとんどで、力関係がはっきりしていた。それが今回は、住友林業が約346億円で熊谷組株の20%を取得して筆頭株主になり、熊谷組は約100億円で住友林業株の2・85%を所有するという。出資比率の違いに十分な説明もなく、対等な提携なのかも疑問符が付きます」(同)

 資本提携は、事実上“株の持ち合い”。東京証券取引所や金融庁がその解消を推進するなかで、資本提携に踏み切った2社の対応に首をかしげるライバル企業も少なくなく、こうした“不透明さ”が投資家に敬遠された格好だ。

 経済ジャーナリストの福山清人氏は、今回の資本提携がさらに他社を巻き込む可能性が高いと指摘する。

「両者のメインバンクは、三井住友銀行。昔のように銀行が表立って提携や経営統合を主導しませんが、水面下で両者の調整に動いたのは間違いないでしょう」

 偽装杭打ちが問題になった三井住友建設も、メインバンクは三井住友銀行だ。

「三井住友建設は、今年度決算で増収減益を予想しています。ですが、東京五輪の関連事業も収束して公共事業も減少するなかで、単独で生き残れるほどの力はない。三井住友建設が、熊谷組と住友林業連合に参加する可能性は否めません」(同)

 数年後、スーパーゼネコンをも巻き込む再編劇が起きる?

週刊新潮 2017年11月23日号掲載

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