大女優・天海祐希のプライドが傷ついたか?――三谷幸喜の舞台で“愚痴”

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2013年に三谷の「おのれナポレオン」を途中降板

 ところが話が進むにつれ、大泉洋の策略で“リーダー”の座を追われる。ラスト近くで見せ場が用意されているものの、ストーリー上、どうしても中盤は存在感が希薄になってしまう。

 更に、この舞台にはミュージカル風のシーンもある。大泉洋が熱唱すると観客が盛り上がるのだが、なんと宝塚出身の天海祐希が歌うのはワンフレーズのみ。まるで4番のホームランバッターを2番でバントさせるような印象なのだ。

「実際、天海さん本人も悩み、上演中の楽屋で愚痴をこぼすこともありました」と打ち明けるのは、さる関係者。

「天海さんは宝塚のスターとして舞台のキャリアを積み重ねました。座長肌のキャラクターで、キャストとスタッフをまとめあげていきます。愚痴をこぼすなんて、普段の天海さんなら絶対にありえないことなんですが、今回は役に悩んでいたんでしょう。『子供の事情』では、自分を殺し、相手役を引き立てる演技を求められました。見事に演じきったのはさすがですが、当然ながら様々な葛藤もあったと思います」

 2013年に天海祐希は、三谷幸喜が作・演出を手掛け、野田秀樹が主演を務めた「おのれナポレオン」を心筋梗塞のため公演中に途中降板。宮沢りえ(当時40歳)が代役を務めたことは記憶に新しい。

「今でも申し訳ない気持ちを持っているようで、だからこそ『子供の事情』は絶対に演じ切る覚悟を持っていたはずです。スター女優が脇役も経験し、演技の幅が広がることは珍しくありません。いくら天海さんが人気でも、永遠に主役というわけにもいかない。ただ、三谷さんはプライドの高い人なので、天海さんの愚痴が耳に入ってしまうと、一気に絶縁してしまう可能性があります。そのため周囲は上演中、ひやひやのし通しだったんです」

 そして舞台は、圧倒的な評価と人気を獲得しながら、無事、8月6日に千秋楽を迎えた。宝塚の月組時代から数えれば、なんと芸歴30年。何が何でも「スター」の座に執着するか、様々な役柄で芸を磨き主役、脇役なんでもこいという「真の大女優」に成長していくか、いよいよ天海祐希も女優としての“岐路”に立ったのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2017年11月24日掲載

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