「日馬富士」暴行で見えた「貴乃花」理事長選の金星

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“オレ預かり”

 さる協会関係者が言う。

「貴乃花親方はスポニチとは関係が深く、かつて評論家として解説をしていました。今回の報道は貴乃花サイドがリークしたと考えるのが自然でしょう」

 九州場所が始まっていたタイミングでもあり、結果的に大きく報道された。

「実は、先月の飲み会直後に貴ノ岩が日馬富士に対して、謝罪しています。対する横綱も“やりすぎて悪かった”と和解した。ところが、貴乃花部屋は伝統的に他の部屋の力士との飲み会に参加することを禁じており、それを聞いた貴乃花は貴ノ岩を叱りつけ、暴行事件と共に、“この案件はオレ預かりにする”と話したのです。そうした対応をとった背景に、来春予定されている理事長選挙が関係していることは間違いありません」(同)

 16年3月に行われた前回理事長選では再選を目指す八角親方と貴乃花親方が立候補し、6対2で八角親方が勝利している。この時、貴乃花親方に投票した1人が他ならぬ、日馬富士の師匠・伊勢ヶ濱親方だった。

「伊勢ヶ濱は同年の自身の理事選の際に、貴乃花から票を回してもらった恩があり、理事長選では貴乃花に投票しました。ですが、元々は八角サイドの人間。次の理事長選では八角理事長に投票すると目されていました。今回の事件によって、伊勢ヶ濱は理事から降格させられる可能性が高い。つまり、八角票が一つ減る計算になります」(同)

 先の記者が補足する。

「次期理事長選について貴乃花は出馬の態度を明らかにしていませんが、この不祥事が今後、八角理事長の責任問題になるのは必至。そうなれば、貴乃花理事長の芽が出てくるというわけなんです」

 貴乃花親方にとって、ごっつぁんの金星になるのか否か。トップの椅子を巡る権力闘争劇の幕開けである。

週刊新潮 2017年11月23日号掲載

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