12年ぶり復活 “aibo”発売はソニー復活の象徴か

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 おいで、おいでーー。平井一夫社長(56)の呼びかけにワン、ワンと鳴きながら歩み寄るのは、3台の犬型ロボット「aibo」だ。12年ぶりの復活だが、果たしてソニーに“福”をもたらしてくれるのか。

 先代「AIBO」は25万円という高額だったが、1999年の発売から8年間で15万台以上を売り上げるヒット商品になった。新型aiboは、本体価格19万8000円(税別)=以下同=と割安感がある。経済誌の家電業界担当記者によれば、

「本体以外にネット接続費などの“エサ代”が、3年間で9万円必要です。そこに3年間のサポート費用5万4000円を加えると、最低34万2000円かかる計算になり、先代よりも高くつく。にもかかわらず、11月1日のネット先行予約ではわずか30分で完売しました」

 新型aiboのセールスポイントは、人工知能(AI)の搭載。呼びかけると持ち主に歩み寄る学習機能があり、目の色が青いと喜びを、赤いと悲しみや不安といった感情を表現することもできる。格段に進化したが、売上げも先代を抜けるのか。

「抜く可能性はありますが、ソニーの中核を担うような商品になるとは思えません」

 こう分析するのは経済ジャーナリストの森山健氏だ。

「一時は経営危機も囁かれたソニーの2018年3月期決算予想は、営業利益が6300億円で過去最高水準に達する見通し。劇的なV字回復を遂げたといっていい。内訳をみると、ゲーム事業がトップで、それに金融事業、半導体事業と続く。aiboの収益はごくわずかで、“復活の象徴”といったところでしょう」

 ゲーム事業が稼ぎ頭では、収益の安定性を望みにくい。前回は、生産中止から8年後に経営不振を理由にメンテナンスサービスも打ち切られた。aiboは、ソニーの経営状態を測る“カナリア”か?

週刊新潮 2017年11月16日号掲載

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