伊藤詩織さん手記「Black Box」 256ページに42度の“なぜ”
元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)が週刊文春に寄せた「韓国軍に慰安婦」記事の捏造は明白である。去る10月24日には、レイプ被害を訴えた伊藤詩織さん(28)が東京・千代田区の日本外国特派員協会で記者会見を行った。主催者から招待状が送られていたにも拘わらず、山口氏は返事もなく“逃亡”している。
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10月18日に文藝春秋から出版された詩織さんの著書『Black Box』には、裁判所が出した逮捕状を差し止めた当時の警視庁刑事部長・中村格氏に1度ならず2度も直撃取材を敢行した事実が綴られる。
〈出勤途中の中村氏に対し、「お話をさせて下さい」と声をかけようとしたところ、彼は凄い勢いで逃げた。人生で警察を追いかけることがあるとは思わなかった〉
直木賞作家の中島京子さんは、こう語気を強める。
「はっきりさせなくてはいけないのは、泥酔した相手、しかも意識がある時点では帰りたいと言っていた人を、自分のホテルの部屋に連れ込んではいけないということです。月刊誌の山口さんの手記を読みましたが、彼はそれがダメだと全く思っていない。その認識がとんでもない間違いだと思います。常識外の行動ですから。しかもそれで行為にまで至る。密室をいいことに、彼女に責任があるかのように書く態度にも唖然としました」
42度の「なぜ」
こうやって、会見と手記出版、そして山口氏の捏造記事を並べて論じるのは、それらが図らずも1つの線で結ばれているからだ。山口氏は慰安婦問題をTBSで報じたかったものの、局側に「十分な裏付けがない」と退けられ、文春に寄稿した。その発売日が15年3月26日。事実を察知したTBS本社は彼を召還し、本社が認めなかったものを他媒体で紹介したことについて事情を聴いている。実際、山口氏は東京・港区のシェラトン都ホテル東京に4月1日から4日午前まで投宿。詩織さんがレイプされたのは3日夜から4日未明のことだ。
文春の記事がなければ召還も、望まぬ行為に巻き込まれることもなかったということになる。全体で256ページある詩織さんの著書には、「なぜ」などの疑問符が42度も登場する。
山口記者が捏造してまで報じたかった、戦時下の女性に対する人道に反する罪。そのように女性に寄り添う態度があるのなら、平時に女性の人道を平然と踏みにじる行為がどうしてできるだろうか。2つが同時進行していることに、「なぜ」、がこだまするのである。