森永卓郎が語る「糖尿病」経験 著名人が明かす克服法
糖尿病は一生治らない?
ここで気になる疑問を1つ。糖尿病は一旦罹患すると一生治らないのだろうか。つまり不可逆的な病気なのか否かということだが、答えを先に明かしてしまえば、改善可能な場合とそうでない場合がある。その“線引き”に大きく関わるのが、膵臓のダメージと、重い合併症の有無である。
インスリンは膵臓の中のランゲルハンス島という細胞群のβ細胞から分泌される。ちなみにドイツの学生・ランゲルハンスさんが発見し、「島」のように見えることからその名前がついたという。
「糖尿病の症状が軽い人やなったばかりの人は、まだβ細胞の数が健常者より少し減っている程度である場合も多い。しかし糖尿病が悪化するとβ細胞は減少していく。そして、現時点では、一旦減ってしまったβ細胞が増えることはないと考えられています」(先の植木氏)
つまり、β細胞の状況によっては、病気を改善できる可能性もある、というわけだ。前出の森永氏が糖尿病を克服した方法については(3)で紹介するが、
「僕の場合、どの医者も共通して言うのは、まだ膵臓の機能が生きていたから何とかなったということ。もし膵臓がダメになっていたら、同じようには出来なかっただろう、と」(森永氏)
元の状態に“戻れる”のかどうか。それを判断するためのもう1つの指標となるのが合併症で、銀座泰江内科クリニックの泰江慎太郎理事長によると、
「私のクリニックでは覚えやすいように、パンフレットなどには、合併症が発症する順番に“しめじ”と記しています。“し”は神経障害で、感覚が鈍くなり、麻痺が起こる。“め”は眼の網膜症で、眼の奥の細い血管が詰まることで、最悪の場合、失明することも。“じ”は腎障害で、進行すると人工透析を行うことになってしまいます」
(2)へつづく
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