森永卓郎が語る「糖尿病」経験 著名人が明かす克服法
膵臓のダメージ
では、人はいかにして糖尿病になるのか。そのメカニズムに触れておきたい。
我々が食事でとった栄養のうち、炭水化物は消化吸収の過程でブドウ糖になる。そのブドウ糖を血液中から細胞に取り込む働きをするのが、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリン。それが分泌されなくなったり、分泌量が減る、またはインスリンの働きが弱まることで、血中のブドウ糖の濃度が高まるのが、糖尿病だ。
糖尿病には1型と2型があり、患者の大多数を占めるのは2型。1型は自己免疫疾患などが原因でインスリンを分泌する膵臓の細胞が壊されることで起こり、食生活とは関係がない。一方の2型は「生活習慣病」と言われる通り、食生活や肥満と密接な関係がある。
2型糖尿病には、大きく分けて2つの原因がある。1つはインスリンの分泌量が減ることで、それには遺伝的体質や加齢が大いに関係している。ちなみに、そもそもアジア人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少なく、糖尿病になりやすいという。もう1つの原因がインスリンの働きが弱まることで、専門用語では「インスリン抵抗性が高まる」と表現する。その元凶こそ、脂肪なのだ。
「細胞にはインスリン受容体があって、それとインスリンが結合し、信号を細胞に伝えています」
そう解説するのは、国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター長の植木浩二郎氏である。
「しかし、内臓脂肪などの脂肪組織から出てくる悪玉のアディポカインやその他様々な代謝物質がインスリンの信号伝達を阻害するような働きをする。するとインスリンがいくら分泌されても、“糖を取り込め”“グリコーゲンに作り替えろ”といったシグナルが伝わらなくなってしまう。これが“インスリン抵抗性が高まっている”状態です」
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