「座間9遺体事件」目的は 3人目からは“快楽殺人”
最初の快感
「2人目までの男女と後の7人とは、目的が別ではないかと思います」
と言うのは、精神科医の片田珠美氏。
「最初の被害者は金銭や乱暴目的だったと考えられます。また、その知人男性は女性を探しに来たので、発覚を恐れての犯行でしょう。金銭目的なら50万円を手にした直後はバレないように隠蔽工作をするのが普通。ところが彼の場合は、勢いづいて犯行を繰り返している。これは最初の殺人によって快感を覚えてしまったためで、後の7人は最初に感じた感覚を得るために殺された、快楽殺人だと考えます」
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授も、
「昔は多数の相手と簡単に知り合う手段がなかったものの、彼にはSNSで対象者を呼び出すという手法がありました。一度、快感を覚えて歯止めが利かなくなったところへ、殺したい時に対象がいくらでもいるという状況があった。そのため、連続して実行可能となったのではないでしょうか」
真の動機を明かしたくない理由は、自分の性的嗜好を知られたくないためかも知れないが、こんな意見もある。
「首吊りに都合がよいと考え、ロフト付きの部屋を借りたと供述していることからも最初は、金銭や性行為目的とともに“首吊りを見たい”という強い執着があったと考えます」
とは、長谷川博一・こころぎふ臨床心理センター長。
「ただし、2人目までの殺害で得た首吊りの快楽に加えて、殺害後の処理で行った“解体”、そして“保存”した頭部を眺めることでも異常な興奮を覚えたと思われます。何かに異常に執着することを心理学の専門用語では『固着』と呼びますが、大抵、自分自身の過去の経験がきっかけとなっている。彼の場合も過去に首吊りに固着する何かしらのきっかけがあったはず。そこに今回、新たに解体と保存という強い執着が加わり、猟奇的犯罪が生まれたのではないでしょうか」
いずれにせよ、新たなリビドー(性衝動)に目覚めた結果、白石容疑者は禁断の快楽殺人の“魔物”と化したのである。
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