清宮幸太郎が抱える「3つの問題」――「清原超えは可能?」張本勲氏が分析
「非常に優れた資質を持つスラッガー」
ちなみに張本氏も59年、高卒ルーキーとして1年目からスタメン入りを果たした。125試合に出場し、打率.275、115安打、13本塁打、5三塁打、57打点を記録。清原、榎本、そして張本氏の3人は全員、新人王を獲得している。
「改めて清宮くんが、非常に優れた資質を持つスラッガーであることは間違いありません。何十年に1度、というレベルですよ。また日ハムに入るのもよかったと思います。栗山英樹監督が新人育成で立派な実績を残していることは、野球ファンなら誰でも知っているでしょう。また育成に失敗した新人でも簡単には放出しない温情もあります。おまけにパリーグはDH制です。FA権を取得した中田翔(28)の残留説が報じられていますが、実際にそうなればファーストを引き続き守り、清宮くんをDHにすることもできます。清宮くんには理想的な環境だと言っていいでしょう」
焦点は、やはり来年のキャンプとオープン戦ということになりそうだ。張本氏は「キャンプは1軍でスタートさせるべき」と主張する。
「2軍のほうが、練習量は多いイメージがあるかもしれません。しかし実際のところは、1軍は練習の質も高いですし、量も多いんです。チームのトップクラスが集まっているわけですから当然ですよ。先輩の圧倒的な実力を目の当たりにしながら、清宮くんは揉まれるべきだと思います。そして最初は大変ですよ。1軍の投手が投げる球というのは、レベルが桁違いですからね」
バットの握りとスタンス
プロの球が当たらないことは、我々素人でも簡単に想像がつく。だが、バットに当たれば何とかなるのではないかと思うのだが、それは全く違うという。プロの球は当てるだけだと絶対に凡打で終わってしまうという。
「それだけ球威が凄いんです。バッターが正確なスイングを行っても、球に負ければ凡打で終わります。プロのバッターは正確で、更に力強いスイングが必須です。球に負けない力で跳ね返すんです。清宮くんがそういうスイングをできるようになれば、木製バットに慣れていないという問題は関係なくなるでしょう。本当の懸念は、清宮くんが、そういうバッティングをできるかどうかです」
張本氏によると、現時点でも清宮には3つの問題点があるという。
「1つはバットの握りに遊びがある印象を持っています。確かにプロ打者の中には、グリップを遊ばせている者もいます。しかし彼らも新人時代は小指一本もおろそかにせず、全ての指に力を入れてプロの球に立ち向かったんです。プロとしてバッティングの技術を磨いた後に遊ばせるならOKですが、新人の清宮くんは、まず基本に立ち返って遊ばせず、しっかりとバットを握るべきでしょう」
2つ目は、バッターボックスに立った時のスタンスで、右足と左足の幅が広すぎるという懸念だ。
「特に左打ちは、打席に立った時のスタンスが広い打者はいない、と断言していいぐらいです。野球の教科書には『肩幅より少し広く』とありますが、左の大打者は肩幅ぐらいの選手もたくさんいます。肩幅より少しだけ狭いフォームも珍しくはありません」
左のスラッガーと言えば、誰を思い浮かべられるだろうか。今年の日本シリーズなら、筒香嘉智と柳田悠岐が左。往年の名選手なら松井秀喜、掛布雅之、そして王貞治といった名が浮かぶ。“安打製造機”部門なら、張本氏も、榎本も、そしてイチローも左バッターだ。それぞれのスタンスをチェックしてみるのも一興だろう。
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