10億円獲得「井山裕太」 囲碁七冠の体力作りは「ビリーズブートキャンプ」?

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“肉が付かない”

「碁聖」のタイトルを獲得した経験を持つ坂井秀至八段によれば、

「囲碁は脳を酷使する競技ですから、思いのほか肉体的消耗が激しいと言えます。朝から夜中まで戦って対局を終えると寝付けませんし、翌日も疲れて何も手につかなくなる。体力がなければ、集中力も途切れてしまいますから、体力作りに励む棋士は多い」

 では、井山の場合はどんな体力作りをしているのか。それが、意外なことに「ビリーズブートキャンプ」だったのである。

 ご記憶の方も多いと思うが、筋肉隆々の黒人“ビリー隊長”が考案した軍隊仕込みのエクササイズ。「声が小さい」「君なら出来る!」など、叱咤激励のセリフがウケて、10年ほど前に一大ブームとなったDVDだ。

 井山の父親・裕さんは、

「あれは流行っていた頃に、私が自分のために買ったら、裕太が始めたのです。囲碁で負けないために、体力をつけようと考えたのかも知れません。でも、やっていたのは数カ月じゃないかな」

 どちらかと言えば“オタク”のような容姿の井山が、「ブートキャンプ」とは想像しづらいが、いかに偉業をなした者であっても、“健康器具”が長続きしない点は、凡人と一緒のようだ。

 もっとも、プロ入りした02年から昨年までですでに約10億円の賞金を稼いでいる井山だから、現在はテレビの前で1人、エクササイズというわけではない。先の記者が言う。

「井山は東京と大阪、名古屋のそれぞれにタワーマンションの部屋を持っています。マンション内のジムで体力作りをしているそうです。でも“肉が付かない”とこぼしていました。井山の世界ランクは5位ですが、彼の上に中国、韓国の棋士がいます。トップ棋士たちは皆、体格がいい。世界一を見据える彼にしたら、もっとガッチリとして、体力をつけたいのでしょう」

 今一度、ビリー隊長の言葉を信じてみては。「君なら出来る!」。

週刊新潮 2017年11月2日号掲載

ワイド特集「ちはやぶる 神代もきかず」より

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