「SMAPに脅威を感じた」 ビートたけしの「愛すべきバカ論」(2)

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軍団の脅威としてのSMAP

 SMAPとたけし軍団。

 男性だけで構成されているという以外には何の接点も共通点も無いように見える集団なのだが、SMAPが登場した時に、たけしは脅威を感じたのだ、という。新著『バカ論』の第5章「こんなバカが好きなんだ」から抜粋、引用してみよう。

「ずいぶん昔、おいらはSMAPが出てきたのを見て、ジャニーズの連中がバラエティに進出してきたらやばいぞと、ずっと前から言ってた覚えがある。

 歌と踊りに関しては、次から次へと若い新しいグループが出て来てその都度人気になるだろうけど、そいつらが年取ってアイドルを卒業して次に何をやるかといったら、ワイドショーとかバラエティの司会をするしかない。これからそこにじゃんじゃんジャニーズが来るぞと。

 そうしたら案の定その通りになった。

 SMAPはデビューしていきなり売れたわけじゃない。その前の少年隊や光GENJIなんかと比べて、全然売れなかった。

 それを何とかしようと、女マネジャーがおいらやさんまのところに近づいてきた。アイドルじゃダメだからバラエティで勝負させようと考えたんだろうけど、それは頭のいい作戦だと思った。

 そして同時にあいつらがバラエティに来たら、マズいことになると直感した。だって、軍団なんて顔はマズいし歌も踊りもダメ。ただ、くだらないというだけで勝負していたのに、見た目がよくて歌って踊れる兄ちゃんたちがバラエティに来たら勝てない。それで面白いことを言えば、ギャップが利いている分、芸人よりもウケるんだから」

 この直感通りになったのはご存知の通り。

 もっとも、解散後については、「本人たちが思っている以上にSMAPという看板は大きかったと思う」と懸念も示しつつ、エールを送っている。

「それはバンドも一緒で、『私はサザンオールスターズでベースを担当しています』とか言われても、大抵の人は誰だかわからないだろ。桑田佳祐と奥さんぐらいしか知らないから。

『安全地帯のギターです』とか、『クール・ファイブのコーラスの向かって右から2番目です』とか言われても同じ。

 だから一度看板を下ろしちゃうと、いくら元SMAPでも苦労すると思う。

 その看板というのは、デパートの包装紙のようなもので、中身が同じ商品でも、高島屋や伊勢丹の方がジャスコより高級そうに見える。それと同じ。

 これまでは包装紙の力も大きかったのは確かで、だからこれからが本当の意味で試金石になるんじゃない」

 ファンの方には異論もあることだろうが、「こんなバカが好きなんだ」で取り上げているのは、他にもタモリ、笑福亭鶴瓶などのビッグネーム揃い。数多の「バカ」を俎上に挙げている『バカ論』の中でも、たけしがその才能を評価している対象ばかり。アイドルで登場するのは、SMAPのみというあたりからも、その評価の高さは推察できそうだ。

デイリー新潮編集部

2017年11月4日掲載

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