「韓国軍に慰安婦」記事、証言者は山口敬之に憤り 「言っていないことを私の発言に…」【検証3】
報道するに足る裏付けなし
いずれにせよ重要なのは、これも元大佐の映像もお蔵入りになったままという事実である。TBS関係者は、
「“裏が取れた”ということで映像を東京に出稿したら物言いがついたんです。“これ、ちょっと問題があるんじゃないか”と」
そう背景を打ち明けるし、山口氏のリサーチャーを務めたグリーン誠子氏もこう述懐する。
「山口支局長と東京側の意見が合わなくて、怒鳴り合って電話を切るとか、喧嘩レベルの言い合いがあったと彼自身から聞きました。ちょうど14年秋あたりです」
実際、TBSに聞くと、
「報道するに足る十分な裏付けがないと判断し、放送はしていません」
報じなかった理由を説明するのは極めて稀なことで、再びグリーン氏によると、
「山口さんは“TBSで放送できないなら、また別の方法を考えてやりますから、あなたがしてくださったリサーチは無駄にしませんよ”と言っていましたね」
その言葉の意味を彼女が知るのは、明くる年3月26日の文春記事掲載まで待たねばならなかった。
「記事を読んで頭に過(よぎ)ったのは、リサーチ結果を待っていたのは政府の人間だったかもしれない、ということでした」(同)
彼女の鼻をついた政治的な臭いは、例えばあるメールボックスから放たれたものではなかったか。
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週刊新潮WEB取材班
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