食欲の秋に! 食べて痩せられる「基礎代謝」活用“食事術”
「朝カレー」提唱も
(1)で基礎代謝によるエネルギー消費量は全体の6割、体を動かすと3割が消費されると述べた。残りの1割は「食事誘発性熱産生」と呼ばれる食後の消費である。実際に、摂取したたんぱく質を消化するにはエネルギーが必要で、野菜もまたカロリー消費を促すことが知られている。従ってコーヒーにパン、卵、サラダという「洋朝食」は、極めて理に適っているといえるのだ。
一方で「和朝食」に関しては、
「2014年に東北大の研究チームが『昭和50年の日本食は長寿に有効』との研究結果を発表しました。つまり麦ご飯と味噌汁、糠漬けです。麦ご飯のたんぱく質とビタミンは基礎代謝をアップさせ、味噌と糠漬けの植物性乳酸菌にも同じ働きがある。さらにメザシなどの青魚をつければ、DHAやEPAも摂取できます」(同)
大腸疾患に詳しい松生クリニックの松生(まついけ)恒夫院長も、大麦に注目しつつ「腸内フローラ」との関係を説く。
「日本では昭和40年代まで、平均して年間20万トンの大麦を生産していました。文字通り麦飯が主食だったのです。それが現在は炭水化物ダイエットの流行もあり、誰も食べなくなってしまった。さらに発酵食品の味噌や醤油も消費量は減少しており、これは腸内フローラにとって極めて悪い状況です。大麦の重要性は、生活習慣病の罹患率の推移を見れば一目瞭然です」
松生院長によると、日本人が大麦を食べなくなった50年間で、糖尿病の罹患率は約35倍、大腸がんは約9倍にまで悪化したという。
「大麦に含まれるβグルカンという水溶性の食物繊維が腸内環境を改善させ、血糖値上昇を抑えるという米国の研究があります。基礎代謝も血糖値の上昇を抑制するので、これらの現象は相互に関連していると考えるべきでしょう」(同)
また、先の丁院長は「朝カレー」を提唱する。
「カレー粉に使われるターメリックやカルダモンはれっきとした漢方薬で、ともに基礎代謝を活発化させる働きがあり、朝食べれば半日間は効果が期待できます。具材や味付けは、お好みで構いません」
(3)へつづく
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