伝説の二枚目「阪東妻三郎」を奏でるピアニスト

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“阪妻”こと阪東妻三郎の名作無声映画「鯉名の銀平 雪の渡り鳥」(1931)が、美しいピアノの調べを背景に蘇る(11月18日、六本木クラップスで、「西村由紀江 無声映画を奏でる♪」と題して、上映。13時開演、活弁士・澤登翠さん)。

 映画に合わせて音楽を奏でる西村由紀江さん(50)は、昨年デビュー30周年を迎え、ライヴにアルバムに大活躍する作曲家・ピアニスト。映画やテレビの音楽にも数多のヒット作品を生み出してきた。そんな西村さん、無声映画に魅了されたきっかけをこう語る。

「初めて無声映画を見たのは、平成6年でした。ダグラス・フェアバンクスの『三銃士』が始まるやいなや、スクリーンいっぱいに広がる躍動感と俳優の豊かな表情、そして弁士の澤登さんの活弁に圧倒されました」

 今回、上映作の選定にあたっては、7つの候補作を見て決めた。いったいどんな映画なのか。

「銀平を演じる阪東妻三郎さんの哀愁のある表情がたまらなく好きです。『雪の渡り鳥』では、秘めたる恋、仲間のために犠牲になる精神、美しく尊く、日々の中で忘れてしまっているものを思い起こさせてくれます」(同)

 田村三兄弟(高廣、正和、亮)の父親としても記憶される阪妻は、役者として、酔狂な粋人として、51年という短い人生を駆け抜けた。

 西村さんが惚れ込んだこの作品の魅力とは?

「立ち回りのシーンが見所です。所作に無駄がなく、美しい。『雪の渡り鳥』に音楽を作曲するのはもちろん初めてのこと。毎日、映画を見ながら曲を作っているので、夢に阪妻さんが登場することも」

 さぞや楽しいライヴになることでしょう。

週刊新潮 2017年10月26日号掲載

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