都電をタクシー代わりにする贅沢

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昭和の秋を気動車の車窓で楽しむ

 いすみ鉄道(http://www.isumirail.co.jp/)というローカル線が千葉県を走っている。大原海岸で有名な大原駅(いすみ市)から、温泉や紅葉狩りの名所である上総中野駅(大多喜町)まで約26.8キロを結ぶ。地元の人々の貴重な交通機関だが、太平洋と渓谷を結ぶ観光鉄道の側面も持つ。事実、3月中旬からは沿線に菜の花が咲き乱れ、多くの観光客が乗車する。

 この列車を貸切にすることができる。ダイヤや利用日の制限はあるものの、平日なら1両を何と5万円で独り占めできる。土休日でも6万円だ。着席定員は43人だから、土休日の料金を人数で割ると約1395円。同窓会や俳句などのサークル、車内有志での旅行となると、決してハードルの高い人数ではないだろう。更に10人なら6000円と、ぐっとリアルな感じになってくる。

 鉄道ファンとなると、文字通り金に糸目は付けないようだ。昭和の国鉄型気動車で“往年の名車”とされる「キハ28とキハ52の2両編成。着席定員110人」が最も値段の高い15万円なのだが、これがトップクラスの人気を誇るのだという。もちろん110人も集めているはずがない。

 同社の営業企画課に、貸切列車の魅力について訊いた。

「弊社の貸切列車は20年の歴史を持ち、おかげさまで好評を頂いております。観光目的で乗車される方は、やはり菜の花が見ごろを迎える春が最盛期です。しかしながら、秋も非常に旅情を感じて下さるのではないかと自負しています。沿線では稲刈りを終えた田、つまり刈田原が広がり、柿の木には赤い実がたわわに熟し、と、文字通り昭和の秋が、そのまま残っています」

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