政府発表の「4%成長」実は「マイナス9・9%」? アベノミクスの実際の成果は…
ビールも給料も減っている
たとえば、景気に敏感なビールの販売データを見てみよう。
今年4〜6月期のビールの「販売店引取数量」は、前年同期より1・5%も減っている。
デパートの売り上げはどうか。訪日外国人によるインバウンド消費が前年比で36%も増加したが、国内居住者による消費は同0・7%の減少だった。国民の消費意欲は細る一方なのだ。世を驚かせた「4%」成長とは、あまりに不釣り合いである。
次に、雇用のデータを見てみる。
この4月、有効求人倍率が1・48倍を記録し、バブル期の水準を超えたともてはやされた。
しかし、有効求人倍率とは、ハローワークに出された求職票の合計枚数に対して、求人票の合計枚数が何倍あるのかを、示しているに過ぎない。求職と求人とのミスマッチは、完全に無視されている。
では、実際に就職した件数はどうかというと、現政権下では全体でマイナス17%、「パートを除く」だとマイナス22%だ。その結果、「求人」は増えても、求職希望者の6割以上が就職できないという事態が3年以上も続いている。これでは「就労者数が増えた」とはとても自慢できまい。
給料はどうか。
日本経団連が8月2日に発表した「2017年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果」によると、東証一部上場の大企業150社の今夏のボーナスは、昨年夏より平均3・0%減少している。とりわけ、トヨタ自動車を含む自動車関連19社では、平均6・5%もの減少だ。サラリーマンの収入はむしろ減っているのだ。
もうひとつの指標、「総雇用者所得」は、今年4月こそ0・7%増加したが、その後伸びが止まり、7月になると0・4%減じて元通りという体たらく。
どうだろう。これでは、いくら安倍総理が「内需主導の力強い経済成長」と喧伝しても、多くの人は実感できないはずだ。
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