秋ドラマ視聴率戦争 「米倉涼子」に放たれた刺客は「綾野剛」

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“大穴”の期待

 翻って、視聴率三冠の座を守る日テレは、男性ファンを意識したのか、綾瀬はるか起用の「奥様は、取り扱い注意」(水曜22時)が、初回11・4%と好調だ。

 日テレ関係者も、

「ウチの一押し。彼女がスタントマンなしで演じるアクションシーンが見どころ」

 過去に特殊工作員だった綾瀬が、専業主婦となって、近所のトラブルを解決するという突飛なストーリーだが、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、

「確かにアクションが格好良く決まっています。彼女が昨年から出演しているアクションを多用したNHKドラマ『精霊の守り人』における訓練の成果でしょう。初回は、見た目はほんわかした彼女が、知人のDV夫を懲らしめるというギャップが際立っていました。ただ、気になる点は、ご近所トラブルを腕力で解決するというのがパターン化しないかどうか。毎回同じだと、視聴者は飽きてしまいます」

 特殊工作員の能力はアクションだけではないから、如何に問題解決のバリエーションを見せることができるかに掛かっているようだ。

 このところ低調なフジテレビは、夏にヒットした月9ドラマ「コード・ブルー」に続けて巻き返しを図りたいところ。今回、同じ枠で放送される「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?」は、主婦の篠原涼子が市議会議員となり、政界や社会にはびこる悪をぶった切るというストーリー。もっとも、衆院選の影響で、放送開始が1週延期となり、

「のっけから味噌を付けてしまいました。しかも、ドラマより、現実の選挙の展開が面白過ぎます。このままではドラマが陳腐に見えてしまうのでは」(林氏)

 一方、前宣伝がほとんどなかったため、初回の視聴率は7・6%と振るわなかったが、浅野忠信と神木隆之介主演の「刑事ゆがみ」(木曜22時)は、今後、“大穴”になると期待が掛かる。先の吉田氏が、

「最近の刑事ドラマに群像劇が多いなかで、このドラマは、2人の演技をじっくり見ることができます。浅野の存在感も空気感もいいし、神木の頼りない刑事姿もはまっている。いまのところ、全局の中で一押しです」

 と言えば、碓井氏も

「型破りな役の浅野と、成績優秀でも腹黒い役柄の神木の掛け合いがいい。口コミで“普通の刑事ものと違う”と広がったら、もっと数字にあらわれそう」

 今からでもまだまだ間に合う「秋ドラマ」。その戦いは始まったばかり。

週刊新潮 2017年10月26日号掲載

ワイド特集「ザッツ・エンタテインメント」より

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