すべての妊娠が幸せだけに包まれた夢物語ではない―― 綾野剛主演「コウノドリ」2話 ガン発覚の妊婦を描く
初回視聴率12.9%の好発進をきった「コウノドリ」。シリアスなテーマを扱いながら、多くの人々を惹き付けるのは、出産というのが今も昔も、人の命をかけておこなわれるものに変わりがないというあかしだ。
第2話のゲストは子宮頸部腺ガンと診断された妊娠19週の妊婦、久保佐和子(土村芳)である。鴻鳥サクラ(綾野剛)による病理診断の結果、佐和子のガンは予想以上に進行しており、出産が終わるまで経過を見る選択肢がないことがわかる。
佐和子は通常よりも3カ月早い28週で、帝王切開と子宮全摘出手術を同時に受けることになった。助産師の小松留美子(吉田羊)に、四宮春樹(星野源)は、もっと子宮頸ガンのワクチン接種がひろまっていれば、とこぼす。ここで、13歳女子での接種率は1%以下という統計とともに、ワクチンの副反応の問題も語られる。「ワクチン接種で救える命があるのに」と悔しさをにじませる四宮。この時私の頭にはもうひとつ、選択肢が浮かんでいた。
私は、子宮頸部のガン検診を受けたことがある。婦人科の内診で頸部の細胞を専用のブラシで少量こすりとって検査にかけるのだ。進行が早く、20代30代に多い子宮頸ガンの検査は、ひとりでも多くの人に受けてほしい。心理的に、女性にとって婦人科の内診はハードルが高い。正直に言えば怖いし不快だし、わずかだが痛みも伴う。それでも、妊娠がわかってからガンが発覚しておのれの命と胎児を天秤にかけることになる前に、できることのひとつだ。こうした検診の大切さを想起させ、視聴者自身の行動につなげられるヒントがあるのも、本作の魅力のひとつであるように思う。
■「人の肉体は最後にはこうなるのだ――」死の裏方を知る「仕事師」たち
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