故・羽田孜元首相の義弟が語る「省エネスーツ」と「小選挙区制」の思い出

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秘書官が悲鳴を上げた省エネスーツ

「秘書官が『省エネスーツがよれよれで、あまりにもひどい。きちんとした格好にするように言って下さい』と頼んできたんです。僕は秘書官に『あのスーツは、うちが作った服じゃないですよ』と念を押したんですけれども、大蔵省の大臣室まで出向きましてね、羽田さんに『その服、なんとかしてくださいよ』と頼んだんです。すると、羽田さんは『このスーツを脱ぐことはできないよ』と言うんです」

 当時、羽田元首相が愛用していた省エネスーツは、長野県でテーラーを営む、ベテランの職人が手がけていたのだという。羽田元首相は「僕のファンになってくれている方だから、着続ける」と義理の弟の頼みでも、首を縦に降らない。

「いい話じゃないですか。それに羽田さんという人はとにかく義理堅い。これは説得できないなと考えて、『じゃあ、長野の方が作られた省エネスーツに加えて、もう1着、こちらで作りますから、交互に着て下さい。あと冬のスーツは、こちらで作ります』と提案したんです。すると羽田さんは、やっと頷いてくれました」

 こうして渡邊会長は、省エネスーツを作り始めた。90年代から晩年まで続き「何着作ったか、もう覚えていない」という。カインドウェアの店舗でイージーオーダーの省エネスーツも販売したが、製造量などの記録は残念なことに残っていないという。

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