「出産の奇跡のあとには現実が続いていく」子育て世代に刺さる名言炸裂! 綾野剛、星野源ら熱演「コウノドリ」
10月13日(金)、連続ドラマ「コウノドリ」初回が放送された。2015年に放送された同タイトルドラマの続編だ。
産婦人科医とピアニストというふたつの顔を持つ鴻鳥サクラ(綾野剛)を主人公に、産まれる命のかけがえなさを描く。脇を固めるのは「真田丸」「逃げるは恥だが役に立つ」(2016)で大ブレイクした星野源が演じる四宮春樹。人気歌手となっても、本作での星野源のポーカーフェイスは安定感たっぷりだ。それに加え、小松留美子(吉田羊)、下屋加江(松岡茉優)ら、前作と変わらないメンバーが集結した。
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前作から2年の時が経ち、以前よりも産科医としての誇りと使命を新たに仕事に取り組むサクラ。そんなサクラに「産科医ひとりに出来ることなんて限られてる。背負いすぎるな」と四宮は言う。
さて、初回のゲストは志田未来演じる、早見マナ。夫婦ともに聴覚障害者。マナのおなかの中の子どもは、サクラの裏の顔であるピアニスト、BABYの音楽を聴くとよく動くという。それまで音楽を聴くことのできなかったマナに、赤ちゃんが音楽を教えてくれた、と筆談するシーンでの綾野剛の優しい、初心に返ったようなやさしい表情は、前シーズンが連続ドラマ単独初主演だったという綾野の、この2年の成長を物語っていた。
この2年の間、綾野はdocomoのCMに出演。そこではハリセンボンの近藤春菜と結婚したり、ブルゾンちえみという妹の存在を明らかにしたり、堤真一と高畑充希の火花バチバチバトルに巻き込まれたりと、はっちゃけてるのかへたれてるのか、よくわからない(しかし異様に存在感があって魅力的な)キャラを演じた一方で、2016年の「リップヴァンウィンクルの花嫁」「64 -ロクヨン-」「怒り」などの映画で続けざまに高評価を獲得した。「日本で一番悪い奴ら」では第15回ニューヨーク・アジア映画祭ライジング・スター賞とともに、第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞に輝いている。
しかし綾野剛の心のホームは、連続ドラマ「コウノドリ」にあるのではないか。彼の表情は、そんなふうに信じてみたくなる慈悲深さにあふれている。原点に立ち返り、命と誠実に向き合う医師の姿は、どんな役にでも誠実に向き合ってきた俳優としての2年間の綾野の姿に重なる。
早見マナ(志田未来)の産んだ赤ちゃんには、聴覚異常は見られなかった。そのこと自体を、幸福とも不幸とも描いていないのが良い。ろうあの夫婦にはむしろ、健常な聴覚を持つ子どもを育てることの方が難しいことかもしれない。ドラマ中には、幾度となく、ナレーションが繰り返される。
「出産の奇跡のあとには現実が続いていく。生きるのは家族だ」
命が産まれることは喜ばしい奇跡だ。しかし親になった以上、人間は親という生き方から逃れられなくなる。そのことに、前作以上にフォーカスを当てようとしているのがセカンドシーズンなのではないだろうか。
その頃、四宮が受け持っている妊婦、佐野彩加(高橋メアリージュン)の胎児に心室中隔欠損が見つかった。仕事への復帰が遅れてしまう、とうろたえる佐野に「出産に“予定どおり”はありませんよ」と言う四宮の言葉が、一視聴者の私のある記憶を呼び覚ました。
かつての私の妊娠中の先輩で、ある時急に職場で姿を見せなくなった人がいた。後から聞いたところ、切迫早産で緊急入院、絶対安静の状態だったそうで、「仕事のカバーが大変だよー」なんて次長はぽろっとこぼしていたけど、そんなのしょうがないじゃん! と、当時(今もですが)子どもを産んだことのない私でさえ、女性が出産に向けてどれだけ命のリスクを負っているのか常に心配してるのにそこんとこ分かってんのか次長! と給湯室でひとりやるかたない思いを抱えていたのを思い出した。結局先輩は、ひっそり育休から復帰したのちも、最前線の勝負部署には戻れなかった。
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