日立「一家殺害事件」 透けて見える“日本社会のひずみ”

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 かつて鉱山の町として栄えた茨城県日立市は丘陵地が多く、高台から太平洋を一望できる。その丘の間を縫うように作られた集合住宅の一室で凄惨な事件は起きた。

 6日、日立市の3階建ての県営アパート1階で火災が起き、部屋から小松恵さん(33)と長女の夢妃(むうあ)さん(11)を始め、5人の子どもの遺体が見つかったのだ。

 県警担当記者によれば、

「恵さんの夫である小松博文容疑者(33)が刃物で妻と子を殺害後、ガソリンをまいて火を放ったのです。妻の不倫が原因で離婚を巡るトラブルとなったようで、傷の数から恵さんへの殺意が強かったと見られます」

 捜査関係者が言う。

「小松容疑者は日立市内にある自動車ガラスを修理する会社に3カ月ほど前から勤めていました。職を転々としていて、生活は決して楽ではありませんでした」

 アパートの家賃は3万5000円以下だった。

「長女は妻の連れ子。恵さんは小松容疑者との子どもが生まれながら、再婚したのは3年半前でした。殺害される前日まで子どもを保育園に預けながら、市内のクリニックで医療事務の仕事をしており、また、今年からは日立駅近くのスナックでも働いていました」

 人口減少問題に喘ぐ日本にあって、子だくさんの低所得家庭に起きた悲劇だった。

「日本社会のひずみが透けて見えるようです」

 とは、教育評論家の石井昌浩氏。

「第一次産業が盛んで子どもの労働力を必要とした戦前と違い、現代では子を作りすぎると、逆に経済的な負担になります。にも拘らず、収入が少なく将来の見通しも立たない中、刹那的に子を作る。貧困と多産で生活が破綻してしまう不幸な例は多いと思います」

 少子化問題の裏にひそむ日本の不都合な真実――。

週刊新潮 2017年10月19日号掲載

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