データ改竄「神戸製鋼」に天下っていた元「経産次官」

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年収3540万円

 北畑氏が、神戸製鋼の社外取締役に就任したのは10年6月。実は、神戸製鋼は旧通産省時代からの天下り先の1つだったという。

「旧通産省時代の事務次官2人が神戸製鋼へ天下りしていますが、20年以上前の話。旧通産省OBが神戸製鋼から去ってから総会屋への利益供与や、工場で煤煙を排出しておきながら観測データを改竄するなどの不祥事が相次いだ。経産省としては“お目付け役”として、北畑さんを送り込んだ意味合いも強い。ご本人は兵庫県出身ですから“故郷に錦を飾れる”と、二つ返事で引き受けたと聞いています」(先の官僚)

 神戸製鋼の17年3月期決算は、2期連続となる最終赤字。一方、北畑氏の報酬は1250万円で、16年度とほぼ変わらなかった。それに見合う仕事をしていたといえるのか。

「北畑さんは、神戸製鋼以外にも沢山仕事を抱えていますからね」

 こう語るのは、経済ジャーナリストの福山清人氏だ。

「北畑さんは神戸製鋼の社外取締役以外にも、商社の丸紅など3社で社外取締役を務めている。ちなみに、神戸製鋼を含めて4社の報酬は年間で計3540万円は下りません。企業以外にも、兵庫県の進学校で、彼の母校である私立三田(さんだ)学園の理事長など多数の肩書を持っています」

東京の自宅にもほとんど帰れないという北畑氏。神戸製鋼の秘書広報部に聞くと、

「昨年度、北畑取締役は18回開催された取締役会に16回出席しています。また、昨年のJIS法違反以降、すべての取引の点検をすべきとの指摘を受け、作業を進めてきたなかで、今回の不適切な案件を発見したものです」

 だが、“10年以上前から改竄”との報道もあり、もはや事態は会社存亡の機にあるのだ。

週刊新潮 2017年10月26日号掲載

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