旧日本軍の潜水艦が沈めた「原爆運搬」米艦 両艦長の知られざるドラマ

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奇縁の両艦長が織り成した人間ドラマ(上)――ノンフィクション作家・保阪正康

 太平洋戦争末期のフィリピン海域。密命を帯びた米海軍の重巡洋艦を旧日本軍の潜水艦が発見、魚雷攻撃で沈没せしめた。それから72年、時を同じくして海底から両艦が発見された。ノンフィクション作家の保阪正康氏が、2人の艦長が織り成したドラマに迫る──。

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 米海軍はさる8月19日、フィリピン沖の海底5500メートルで、かつての米重巡洋艦「インディアナポリス」の船体が見つかったと発表した。同艦は昭和20年(1945年)7月30日、旧日本軍の潜水艦「伊58」による魚雷攻撃を受けて沈没していたものだ。

 実に72年ぶりとなる発見をなし遂げたのは、米マイクロソフトの共同創業者であり、資産家として知られるポール・アレン氏。彼は私財をなげうって海底探索チームを編成し、深海に眠る第二次大戦下の軍艦を次々探し当て、敵味方の区別なく慰霊を続けている。

 また、これと前後して8月下旬には長崎・五島列島沖の海底200メートルの地点で、九州工業大学の浦環(たまき)特別教授らの調査団が、GHQによって海没処分された旧日本軍の潜水艦24隻を調査。その後9月7日には、このうちの1隻が伊58であると特定された。

 はからずも「インディアナポリス」「伊58」が相次いで発見され、くっきりと浮かび上がってきた大戦末期の攻防戦。本稿では、そこから紡ぎ出される人間ドラマを辿ってみる。

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