お得すぎる優待セール 「三陽商会」デジタル入場券廃止の原因は“メルカリ”か“中国人”か
中国人バイヤーが跋扈の証言も……
大手アパレルメーカーの三陽商会だが、社名より「SANYO」のブランド表記が、より知名度が高いのかもしれない。1997年、安室奈美恵は結婚記者会見に「バーバリー・ブルーレーベル」のミニスカート姿で登場。一気にブームになったことを鮮烈に記憶している方は、まだまだ多いだろう。
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だが、2015年にバーバリーとのライセンス契約が終了。今年2月に発表された三陽商会の16年度決算は、営業益が84億円の大幅赤字。当期純損失は113億円と過去最大の赤字を記録した。その転落は「バーバリー・ロス」という新語(?)を生み、今も経営危機説がくすぶっている。
とはいえ、まだまだ有名ブランドを保持する“アパレル業界のガリバー”であることも事実だ。公式サイトを見れば、「トゥービーシック(TO BE CHIC)」、「ポール・スチュアート(Paul Stuart)」、「マッキントッシュロンドン(MACKINTOSH LONDON)」などが並ぶ。ファッションに疎い向きでも、名前だけなら知っているのではないだろうか。
だからこそファッション愛好家の間では、同社の「株主優待セール」や「社員家族優待セール」の入場券が一種の“プラチナペーパー”と化していることをご存じだろうか。
昔からファンは様々な伝手を使って入手してきたという。何しろ会場に入れば、同社のスーツ、コート、ジャケット、パンツ、YシャツにTシャツと、ありとあらゆる正規商品が40%~50%の割引価格で手に入る。アウトレットモールなど比べ物にならない。目の色が変わるわけだ。
高い人気を誇るだけあり、会場では激烈な獲得競争も繰り広げられてきたようだ。「通って、7、8年になります」という男性ファンが明かす。
「知人に三陽商会の関係者がいて、入場券をくれたのがきっかけでした。当時はバーバリーとのライセンス契約を結んでいる時代でしたから、人気のブラックレーベルやブルーレーベルは購入制限が課せられていましたよ。もちろん買占めを防ぐのが目的で、それぐらいの来場者数だったわけです。今はバーバリーがなくなったとはいえ、セールの人気は衰えていませんね。やはり盛況です」
ところが、それまでは招待状の形で送られてきた入場券が、バーバリーとのライセンス契約が終了した15年ごろ、「デジタル化」されたという。
「要するにメールで入場券が送られてくるようになったんですね。入口の受付で、スマホでメールを表示したり、プリントアウトした紙を見せたりすると、中に入れてくれるわけです。ところが今年9月に訪れると、多分社員ではないかなという人々が、『次回から入場券はメールでお送りしません。郵送に切り替えますので、名前と住所を書いてください』と呼びかけていました」
これを聞きながら、男性ファンは閃くものがあったという。
「ここ最近、大量に服を買っていく来場者が増えたような印象を持っていたんです。それこそ、携帯電話で中国語らしき言葉を話しながら、文字通りの爆買いをしている場面に出くわしたこともあります。日本人でも、とてもじゃないけど、自分のためじゃないよねという量の服を抱えていることも珍しくなかった。転売目的での来場者が問題になるほどの数に増加してしまい、対策として入場規制を強化するため、名前と住所を書かせるようになったんじゃないかと思ったんですよ」
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