詩織さんが語る“なぜ犯罪にならないのか。民事で闘う” 検審「不起訴相当」で

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 出来事の成り行きを見守ってくれている友人や検察審査会に陳述書を出してくれた人と話していて、最悪でも「不起訴不当」だと思っていました。審査結果が出るまでもう少し時間がかかるものだとも伺っていたので、その点でも驚きました。

 最初に週刊新潮の取材に応じ、その後、顔と名前を出して記者会見をしましたが、後悔はありません。同じような当事者の方から連絡を頂き、その中に、「自分に起こったことを初めて他人に話すことができました。詩織さんと出会ってよかった」というものもあり、私も表に出て行って本当によかったと思っています。

 今回、検審からは発言の機会を与えられることは叶いませんでした。審査員の方などが望めば出席することも不可能ではないと聞きましたが……。陳述書では言いたいことをしっかりと述べました。けれど、書面だけでは分からないこともありますし。もし当事者に聞く必要がないということなら、その理由を知りたいとは思います。

 加えて、一度、警察が逮捕すると決めて裁判所が逮捕状を出した。そのベースがある一方で、検察審査会の判断が起訴相当、あるいは不起訴不当でなかったことについて、それぞれを見極める必要があるでしょう。逮捕イコール起訴ではなく、検察審査会と裁判所の判断が異なるのは理解できますが、それ以外に分からないことが多すぎるのです。

 山口氏は今回の判断を受けて、「一連の経過において犯罪行為があったと認定されたことは一度もなく、今回不起訴処分が確定したことで、この案件は完全に終結しました」とコメントを出しました。彼の意見はそれで正しいと思います。私が疑問だと指摘しているのは、なぜこれが犯罪行為にならないのかということ。

 司法の手続きやシステム、それらをクリアにしようとすればそれだけ分からない点も出てくる。それにしても、これが犯罪にならないのだとすれば、ものすごく恐ろしいことだと思います。

 当時の中村刑事部長が直前になって逮捕中止を命じたことにも疑問は氷解しないままです。なぜそういう判断に至ったのか説明になっていません。

 逮捕状請求までに1カ月強の捜査がなされて、必要な証言、証拠はすべて整っていたという判断だったのに、やっぱり不十分だったと。警視庁高輪署から捜査一課に捜査が移ってからもそれ以上のものは出て来ていない。一体何を捜していたのでしょうか? 

 更に去年7月、不起訴になった際に「嫌疑不十分」、つまり疑わしさは残るが証拠は不十分という結果でした。その、“証拠が不十分である”というラインがはっきりしないですよね。この犯罪は許されるものなのでしょうか。「今後こういうことがあっても問題ない」と言われている気がしてならないのです。

 ホテルという密室で第三者の証言がほとんど望めない中、少なくない証言、事件現場であるホテルのセキュリティカメラ静止画像、下着に付着したDNAの鑑定結果など、証拠を揃えられたと考えるからです。

 現在、民事裁判の準備を進めているのは事実です。セキュリティカメラ動画についてホテル側からお渡し頂けていませんが、民事の手続きをすることで、それを提出すると約束して頂きました。そういった新しい証拠が手に入るので、刑事ではできなかった真実の解明が少し進むかもしれないと考えています。できることは全てやってみる決意です。

週刊新潮 2017年10月5日号掲載

特集「『安倍総理お友達』の準強姦は不問! 密室『検察審査会』は市民の良識だったか」より

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