「正しくなければテレビじゃない」時代のお笑い番組の難しさ 保毛尾田保毛男が炎上したワケ

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「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)の 30周年を記念したスペシャル番組が、9月28日に放送された。その中で、石橋貴明が「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」というキャラクターで登場し、物議を醸している。

「保毛尾田保毛男」は28年ぶりに登場した番組初期の人気キャラクター。ぴっちりと七三分けにしたヘアスタイルに、顔の下半分を青く塗り青ヒゲを強調し頬をピンクに染めた出で立ちで、「ホモ」なのかと聞かれると「あくまでも噂なの」と答える。そんな保毛尾田保毛男の独特なキャラクターが当時大流行。子どもたちがこぞってモノマネをした。

 久しぶりの保毛尾田保毛男の登場にSNSでは「懐かしい!」「久々に大笑いした」などの喜びの声が。しかし、その一方で、28年前には想像も出来なかった批判的な声も広がった。

「この時代にこんなことやるなんて信じられない」「すごく嫌な気持ちになる」「自分はこれで相当小学校時代イジメられました」等々。

 というのも、現在、「ホモ」という言葉は、男性同性愛者を侮蔑する際に使う差別用語だとされている。つまり、そのような差別意識が低かった28年前ならいざしらず、性的少数者を尊重しようという時代に、いったいなにやってんだ、という意見が噴出したのである。

 フジテレビの宮内正喜社長はこのような批判の声を受け「視聴された方の中に不快の念をお持ちになった方がいたら、テレビ局としては大変遺憾なこと。謝罪をしないといけないなと思っております」と陳謝した。

 これに対して「こんなことまで差別だと目くじらを立てるな」「だからテレビがつまらなくなる」といったフジテレビ擁護のコメントもネット上では見られる。制作者側が軽い気持ちで放送した「懐かし企画」が大変な波紋を呼ぶ事態となってしまったのである。

 なぜ、かつては許された保毛尾田保毛男が今は許されないのか。それを知るには「ポリティカル・コレクトネス」を理解する必要があるだろう。元財務官僚で昨年アメリカのハーバード・ロースクールを卒業した山口真由さんの『リベラルという病』から紐解いてみよう(以下「 」内同書より抜粋、引用)

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