麻生副総理の「武装難民」発言を裏付ける防衛省極秘文書の中味

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また失言?

 9月3日、麻生太郎副総理は講演で、朝鮮半島有事の際には大量の難民が日本に押し寄せる事態が起こり得るとし、「武装難民」が紛れ込んでいる可能性を指摘した。

 これを麻生副総理の新しい問題発言という扱いで報じたのが翌日の朝日新聞。

「『武装難民かも。警察か防衛出動か射殺か』 朝鮮半島難民を仮定、麻生氏が発言」

 という見出しで、発言を紹介したうえで、記事の締めくくりでは、8月やはり問題視された麻生氏のヒトラーに関する発言を唐突に紹介している。「麻生さんがまたヘンなことを言っている」という印象を読者に与える構成だと言っていいだろう。

 また、防衛出動の可能性を麻生副総理が口にしていることをとらえ、「防衛出動の理由として難民対応は想定されていない」といった解説も加えられている。

 この見出しと論の運びを見ると、たしかに例によって麻生副総理が乱暴なことを言ったようにも見えてしまう。そそっかしい人ならば、麻生副総理が、

「北朝鮮から来た難民は武装難民かもしれないから、場合によっては射殺もあるわな」

 と言ったように受け止めるかもしれない。

 朝鮮半島から来る難民全般を念頭に、根拠もなく「射殺」する可能性があると口にしたのなら、なかなか過激な発言である。

 しかし、実際には麻生氏は「武装難民」が来たときのことを考えよ、と言っているのに過ぎない。この場合の「武装難民」とは何か。

 実はすでに防衛省は、こうした事態のシミュレーションを20年以上前に行なっている。

 1993年3月、北朝鮮が最初に核不拡散条約脱退を表明したのを受けて、防衛庁(当時)の統合幕僚会議がまとめあげた「K半島事態対処計画」という極秘文書。ここには、朝鮮半島有事で想定される様々な事態に対して、自衛隊がどう動くべきかが書かれている。同書の存在を初めて明るみにした『自衛隊vs.北朝鮮』(半田滋・著)から、難民に関する記述を抜粋して引用してみよう。

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