「多摩在住」で当選「都民ファースト」のヒロインは「渋谷区在住」

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 東京都心・渋谷区にある家賃50万円はくだらないマンションに住み、高級外車キャデラックを乗り回す。“セレブな日常”を送るのは、先の都議会選挙で、「都民ファーストの会」の公認を受け当選した斉藤礼伊奈(れいな)都議(38)。けれど、彼女は選管が配布した「選挙公報」にはこう書いていた。〈多摩市在住〉と――。

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 去る5月21日、彼女が出馬した南多摩選挙区(多摩市・稲城市)にある京王電鉄・聖蹟桜ヶ丘駅前では、応援に駆けつけた小池百合子都知事(65)が、こう太鼓判を押していた。

「斉藤礼伊奈さんは、自宅すぐそこでございます」

「特に、この地元の人間として、この地で生まれ、この地で育った礼伊奈さんですから、思いは誰よりも強いと思っています。どうぞ皆さん、女性議員をこの地域から送り出してください」

 斯様(かよう)にも地域密着をウリにした“小池ガールズ”のヒロインは、大手芸能事務所・エイベックス所属のレゲエ歌手「lecca(レッカ)」という顔も持つ。2児の母として待機児童や高齢化社会の問題に興味を持ち、政治家を志したという。実際、件の「選挙公報」でも、〈多摩格差を解消します〉〈緑豊かな多摩で子育て世帯と高齢者が共生する都市を目指します〉と謳っているのだ。

 だが、地元の60代主婦は、首を傾げてこう語る。

「私が住む都営住宅は、近隣の多摩ニュータウンと同じく住民の高齢化、建物の老朽化など問題が山積しているの。それで、新しく都議になった斉藤先生に相談しようと事務所に行ったら、看板も立ってないし、ポスターも貼ってない。中を覗けばもぬけの殻で、電話も繋がらないのよ」

 古くから地元で商いを営む50代男性が話を継ぐ。

「8月の祭りでも彼女は見かけなかった。市議のセンセイは焼きそばを作ったり交流してくれたから、“都民ファーストのセンセイは来ないのかな”と皆で話したほど。彼女のブログに祭りの写真がアップされたので、来てはいたみたいだけど、本人は写っていないし本当にいたのかどうか……」

 気軽に陳情も出来ず姿も見えない。地元に馴染んでいる様子は窺えないのだ。

「二重生活」

 本誌(「週刊新潮」)は、件の渋谷区内のマンションから、斉藤都議が外車で都庁に出勤したり、新宿や豊島区内の託児施設へ自分の子供を送迎する様子を何度も確認している。居住実態はおろか育児まで地元と縁遠いとあっては、地域の課題を肌で感じる政治家とは言い難いのではないか。

 そこで、多摩市内の実家にいる彼女の父親に尋ねると、娘が選挙前の今年になって、住民票を移したことを認めた上で、こう釈明するのだ。

「今までの生活に加えて議員活動をしないといけない。全面的にこっちに引越してくるわけにはいかないので」

 傍らで話を聞く母親も、

「日数的には、(渋谷と)行ったり来たりで半々くらいの時間でしょうか。二重生活で大変なんです」

 もはや生活の軸足が多摩にないことは明らかである。

 公選法に詳しい神戸学院大の上脇博之教授が言う。

「『選挙公報』に〈多摩市在住〉と書き、地域の問題を公約に掲げれば、有権者には“この人は地元のことをよく知っていて、利益を代弁してくれる”と思って貰えるとの計算が働いたのでしょう。公選法235条第1項の〈当選を得〉る目的で〈虚偽の事項を公にした者〉という条文に該当し、『虚偽事項の公表罪』に該当する可能性があると思います」

 最後に、斉藤都議ご本人を直撃すると、

「渋谷は私の会社の事務所です。一応、会社の代表をやっておりますので。普段は、えっと……、寝泊りすることもありますが、基本は多摩に家がありますから」

 と、なんとも歯切れが悪い。改めて、渋谷が自宅ではないかと指摘されると、

「そちらは主に子供と主人がいます。子供たちの世話や送り迎えを主人が出来ない時は、私が行かないといけないんです。そこは多摩の方たちも理解してくださると思っています」

“自分ファースト”を理由にして、地元を蔑ろにしてはいけませんゾ!

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

ワイド特集「風立ちぬ」より

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