「10歳女児誘拐事件」から13年 幼女愛好男が「私はまた必ずやる」の再犯予告

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猥褻行為は裁かれず

 法廷では、検察側と植木の間でこんな「攻防」が繰り広げられた。

〈「確認しますが、あなたが今回沖縄に連れていっためぐちゃんと呼ばれる女の子に対して、その女の子の陰部をなめたりなどしたことはあるんですか、ないんですか」(中略)「『はい』か『いいえ』で答えてください」〉

〈「……はい」〉

 また、植木の部屋から次のような猥褻ビデオが押収されていたことも判明する。

〈「クミコ小学4年、ヒロコ5年生」/「小学3年生アイチャン」〉

 つまり、不遇なふたりの道行きを思わせた「誘拐逃避行」の裏には、植木の歪んだ小児性愛が潜んでいたのである。

 だが、猥褻行為は起訴された訴因にはなかったこと、またそれを公の場で詳(つまび)らかにして裁くことに対する女児の人権への配慮もあってか、植木の猥褻行為は、法律上は何ら罪に問われることなく、未成年者誘拐と恐喝のみで、2年6カ月の実刑判決が下されたのだった。河合氏は、猥褻行為が裁かれなかったことを受け、

〈再犯の可能性さえ否めない〉

 こう懸念を書き記していた……。

ゴミ屋敷に引き籠もり…

「もう7年間になりますかね、私は自宅アパートの部屋に引き籠(こ)もっています」

 祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩5分、家賃4万5000円の8畳一間の古アパートを「引き籠もり拠点」とする植木が続ける。

「食事はファミリーレストランのデリバリーとかで済ませて、生活保護の金を引き出しに出る以外はずっと家にいます。風呂には3、4年入っていません」

 そう語る植木のアパートは、玄関が半開きになっている。部屋の中に堆積したゴミの山が玄関まで押し寄せ、閉めることが不可能だからだ。その山の高さは、実に成人男性の背丈に達しているのではないかと感じられるほどである。それをよじ登って中に入り、ゴミの山の上で寝るのだという。

「家の中にはあげられないし、お店も私を入れてくれない」と言う植木は、そこからさらに5分ほど歩いた近所の公園で話を続ける。黒のTシャツ、紺の短パン姿。彼のむき出しの脛(すね)の辺りには、黄色い垢がそこかしこにこびりつき、身体全体から曰く言い難い腐臭が漂っている。あえて表現するならば、生ゴミを尿の中に漬けておくとこのような臭いになるのかもしれない。

「ゴミ部屋に引き籠もっていれば、私が小さい女の子と接する機会を『強制的』に断(た)つことができます。それに、こうして臭くしていれば、女の子たちに懐(なつ)かれることもないですし」

 引き籠もりの理由をこう「正当化」する植木。公園には無数の蚊が飛び回り、憩いを求めてその場に集(つど)っていた者に容赦なく襲い掛かっている。しかし、彼にはどういうわけか蚊が、いや蚊も近寄らない。

「栃木県の黒羽刑務所を出たのは2007年の10月。それから老人保健センターの介護職員や、ゆうパックの集荷作業と職を転々として。運の悪いことに集荷先に小学校があって、そうしたら、また自分の女児に対する感情が出てきて、たじろぎました。で、すぐに辞めて、今度は保育園のバス送迎の仕事をしたんです。変な話、未就学児には興味は湧かないだろうと、自分で高を括(くく)っていたんですが、園児の入浴姿を見たりして、このままいくと『ヤバイ』と。ターゲットと言ったら変ですけど、自分の対象は小学1年生から6年生のつもりだったんですが……。そこも辞めて、2008年の夏から世田谷区の小学校で学童保育の職員をサポートする仕事に就きました。結局、子どもに興味があるから、またそんな仕事を選んだんでしょうね」

 ***

(下)へつづく

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

特集「『10歳女児誘拐事件』から13年 幼女愛好男が『私はまた必ずやる』」より

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