懲役4年「井川意高」vs.懲役2年6月「ホリエモン」の獄窓対談
3類からお菓子
井川 私が喜連川に収監されたのは、13年10月でした。実は、入所3日目で、独居の部屋でタオルを洗ったからと懲罰になった。所内生活の手引きみたいなものには、よく目を通していました。でも、そこには“衣類等を部屋で洗ってはいけない”となっているだけ。部屋に付いている雑巾も布巾も洗って問題なかったから、てっきりタオルもいいだろうと思ったのに、なぜかダメ。ところが、私が出所する1カ月前、看守が工場にいた私たちを整列させて、「井川、恨むなよ」って言うから何だろうと思ったら、「ルール変更で、これからはタオルを洗って良し」って。事情を知っている連中は、ゲラゲラ笑ってました。その懲罰のせいで、私は優遇区分の類が上がるのが半年も遅れましたから。
堀江 半年遅れるって、結構精神的にダメージが大きいですよね。最初の5類から、3類になるまでにだいたい半年かかるけど、みんなそれを本当に楽しみにしている。
井川 お菓子を食えるようになるからね。
堀江 長野は、講堂のような場所で映画を観る会が催されて、そこで受刑者にお菓子が配られる。3類はそれが月に1回あって、2類以上は月2回で、1類の人は、さらに座布団付きでした。
井川 喜連川は映画会がなくて、代わりに部屋で、買ったお菓子を週末に食べられる。3類だと、月に1回で500円分の詰め合わせ。2類になるともう1回、600円の詰め合わせが買えます。さらに、1類になれば、カップラーメンや吉野家の牛丼のレトルトを温めたものを食べることもできる。
堀江 1類は、スーパーレアな人種ですからね。
井川 でも、牛丼を食った人に聞いたら、もう二度と嫌だと。なぜかというと、注文した1類の人間が4人くらいしかいなくて、しかも、その後ろでは、受刑者よりも多い人数の看守がずっと見ているから咽喉(のど)に詰まりそうだったって。
堀江 お菓子を取っておけるというのは、すごく良いですね。うちの場合は、映画を観ている間に全部食べないといけない。大体、映画会は土曜日の午前中で、朝ご飯を食べて1時間もすれば、講堂に呼び出される。映画会はそれはそれで楽しいですけど、終わって30分くらいで昼飯です。しかも、炊場(すいじょう)の人たちがすぐに食事の準備をできるようにパン食が多かった。小倉餡とマーガリンをパンに挟んだ“ムショサンド”。みんな、それも楽しみなんですけど、映画会の日は、腹いっぱいになって。
井川 刑務所の飯ということで言えば、民間業者が入ると不味くなりますよね。喜連川も、三井グループのエームサービスが請け負っていた。やはり、民間業者になると、材料費や人件費をできるだけ減らし、利益を出そうとするから不味くなる。大刑(だいけい・大阪刑務所)の飯も民間が入った途端、味噌汁の味がしなくなったそうです。
堀江 炊場を担当する受刑者が足りなくなったというのもある。炊場は刃物も扱うから凶悪犯ではダメで、経済犯かなにかの体力のある若いヤツってなると超レアな存在ですから。
***
(2)へつづく
[3/3ページ]