時代に逆走 68歳「谷村新司」の運転免許挑戦

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 高齢ドライバーによる事故防止のため、世は運転免許返納が時流。だが、そんな時代の流れに背くかのように、自動車免許の取得に向けて、目下、挑戦中の高齢者がいた。齢68の大御所、谷村新司。なんとこの夏、北海道を舞台に、教習所通いをしていたというのだ。

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 アリスのメンバーとしてデビューし、今年で45周年を迎える谷村は、記念のベスト盤「STANDARD~呼吸(いき)~」を発表し、現在、全国ツアーの真っ最中。だが、先月末、FMヨコハマのラジオ番組「E-ne!」に、ゲストとして出演した際、司会からパワフルさの源を聞かれると、嬉々として次のように答えた。

《今年、珍しく夏休みが取れたんです。2週間以上、北海道にいまして、それで、なんと、自動車学校に通っていました》

 なんでも、22歳の頃、渡米中に免許を失効し、以来、車の運転はしていなかったという。そして、

《普通ならもう免許返納する年齢なんですよ。もう高齢者に近いんで、(略)そんな時に免許取りに来るって、オイオイオイみたいな感じだったんですけど。(略)だからなんか、記念すべき夏休みでした》

 ご本人がオイオイオイと自らにツッコミを入れるぐらいだから、周囲はおろか、世の中の大半も同じことを感じたにちがいない。

御堂筋をブイブイ

 それにしても、なぜ、今更、免許を取る気になったのか。谷村の知人が言う。

「アリスでブレイクしてからは、自分で運転することもなくなり、この歳まで再取得することなく来ました。ところが、北海道に別荘を持っている友人達がいまして、集まった際農業したり、雪道でも走れるよう、大型や牽引免許を取ろうという話になったのです」

 北海道での移動には車が必要不可欠ということもあって、この際だから免許を取得することに。そうと決めたら翌日から、知人の紹介で北海道の知床にある教習所へ通い始めたという。それが、7月下旬のこと。

「軽いノリで始めたものの、通い始めると“意外と免許取るのって、時間がかかるんだね”と驚いていました。元々、本が好きでコンサートの合間や移動の際は読書をしていましたが、最近は教本を読んでいます。一番の苦労は、筆記問題の多さだそうで、“この歳で記憶力がなくなっているのに、こんな沢山の問題、引っかけもあって、覚えきれない”とボヤいています」(同)

 かつての愛車は、スバルならぬ、トヨタ・マークIIだった谷村。ラジオでの発言に戻ると、その昔、御堂筋を“ブイブイ走っていた”と言うが、教習を始めてからは、オートマ車で左足の置き場所に戸惑い、ハンドルの軽いことに時間の経過を感じたようだ。

「通う前は、年齢のことも気にしていなかったのですが、いざ、始まって高齢者講習などの存在も知り、“僕もそんな年齢なんだね”と言っていました」(同)

 ともあれ、過去の経験もあれば、教習生も少なかったため、8月下旬には卒検をパス。残すところ、筆記試験のみで、順調にいけば年内取得の見込みだという。

 合格しても、ブイブイ走るのは、ほどほどに。

週刊新潮 2017年9月21日菊咲月増大号掲載

ワイド特集「一葉落ちて天下の秋を知らず」より

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