裸芸人の明暗「とにかく明るい安村」と「アキラ100%」 髭男爵が直撃
真逆の全裸アプローチ
アキラが最初に頭角を現したのは、「ガキ使」の名物企画、「山‐1グランプリ」。そこで披露した、“丸腰刑事”を初めとする「お盆芸」で、徐々に注目度は増していたが、不運な事に、その年は、丁度安村の当たり年。
「事務所の先輩からも、『何で同じ時期なんだろうなー』とよく言われました……」
と溜息交じりで振り返る。
アキラのテレビ露出、その初期は安村との共演が多かった。しかも、“安村と同じ裸芸人”、謂わば、類似タレント的な括りが殆ど。大抵のオファーが、安村ありきだったのである。
「アキラは安村のパクリだ!」
そんな口さがない揶揄の声も耳にした。
確かに同じ全裸芸人ということで、同一視されがちな2人だが、それは全くの見当違い。2人の全裸に対するアプローチは真逆である。
まず、アキラは安村より“一枚”上手、もとい、一枚少ない。要は、海パン一枚纏わぬ全裸である。
「全裸に見える」ではなく、真実スッポンポンの裸で舞台に上がり、お盆で股間を隠し、「見せない」パフォーマンスを繰り広げる。「安心して下さい、穿いてますよ!」が、テレビのタブーをせせら笑うアウトボクサー的手法なら、対するアキラは、お盆の“ピーカブー”で客の視線のパンチを掻い潜る、インファイター。放送コードに真正面から挑む求道者的試みであり、テレビ的には最も“安心”と縁遠い芸人。保険未加入で車を運転するのと同じである。“事故”を起こせば即終了……一巻の終わりのスタントの如き芸なのだ。
(中略)
全く不自由な芸だが、彼(アキラ)はむしろ、誇りを持って極めようとしている。
元来、伝統的な股間を隠す“ノリ”は、最終的に桶等のガードが疎かになり、
「見えてる見えてるー!」
となるのが、定番の落とし所。実際、これが一番ウケるのだが、
「失敗して、『見えてしまった! あちゃー』……やるのは簡単ですけど、それをやると僕の場合、先がない気がする。どれだけ見せずに色々遊べるか……そこを突き詰めたい」
頑固な職人、あるいはアスリートと話している様な錯覚を覚え、無意識に背筋が伸びる。
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