U-18「清宮」「中村」、将来のメジャー行きは覚束ない?
史上最強の呼び声も高かった、U-18野球W杯に出場の高校日本代表チーム。ところが、蓋を開けてみれば予選リーグでも苦戦する有り様。とりわけ、高校球界屈指のスラッガーである早稲田実業の清宮幸太郎(18)、広陵の中村奨成(18)が精彩を欠いている。気の早い話かもしれないが、将来のメジャー行きも覚束ないのではないか。
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カナダ・サンダーベイで開催されたU-18W杯で9月10日、高校日本代表チームは予選リーグ敗退が決定。
その時点で、清宮の成績は28打数6安打ホームラン2本で打率2割1分4厘。一方、中村に至っては21打数2安打ホームランはゼロ。打率は1割以下という散々なものだった。
アマチュア野球に詳しい、スポーツジャーナリストの安倍昌彦氏が解説する。
「特に、中村の成績が振るわなかった理由の一つは木製バットに慣れていなかったことです。金属バットは腕だけのスイングでもある程度の飛距離を出せますが、木製バットはしっかりと芯で捉え、全身を使ったスイングをする必要がある。清宮は、木製バットに慣れている数少ないメンバーでしたが、ボール球に手を出す悪い癖が出て、成績に繋がらなかった」
加えて、疲労の蓄積もあったという。
「中村は、8月23日に甲子園での花咲徳栄との決勝戦を終え、地元広島に戻ったのは、翌日の午後。休みはその日だけで、25日の夕方には日本代表の合宿に参加し、その3日後にはカナダに向けて出発しています。一方、清宮は甲子園出場を逃しましたが、あちこちから招待試合に呼ばれ、全国を飛び回っていた。2人とも疲労のため、身体が思うように動かなかったはずです」(同)
野手のハードル
高校通算最多となる111本のホームランを量産している清宮。夏の甲子園で6本のホームランを放ち、あの清原の持つ大会本塁打記録の5本を32年ぶりに塗り替えた中村。W杯ではトホホな成績しか残せなかったものの、高校球界を代表するスラッガーにはメジャー挑戦への期待も高まる。
いずれ、2人はメジャーで通用するのか。
「日本人選手の場合、プロ入り後にFA権を行使し、メジャーに挑戦するのが最もポピュラーです」
とは、メジャーリーグ研究家の友成那智氏。
「ただ、日本の投手はメジャーでも高く評価されていますが、野手の清宮や捕手である中村の挑戦はハードルが高くなる。メジャーには清宮クラスのパワーヒッターはいくらでもいるし、足が遅いのもネック。捕手では、かつてシアトル・マリナーズに城島健司が入りましたが、言葉の壁から投手と円滑にコミュニケーションが取れなかった。それ以来、メジャー球団は、日本人の捕手に魅力を感じていないのが実情です」
いずれにせよ、まずは日本のプロ野球で実績を積んでからの話である。