なぜ追い求める「インスタ映え」 識者たちが読み説くその心理

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“繊細チンピラ”の物言い

 同じく評論家の唐沢俊一氏も、次のように指摘する。

「私たちは『世間には100%の賛同を得られる事象などない』『誰もが異なる意見や嗜好を持ち、互いに認め合って生きている』と常識で理解していますが、インスタグラムにハマる人はそうではありません。自分と異なる意見と悪口との区別がつかず、みなヘイトと捉えてしまうのです」

 平易な例として、

「私がSNSで『リンゴよりみかんが好き』と書いたとする。すると『あなたは今リンゴを侮辱した。謝れ!』と言ってくる人がいるのです。最近はこれらの手合いを“繊細チンピラ”と称していますが、インスタグラムにのめり込む若者にはこうした自覚が乏しく、ブログやツイッターなど文章がメインのSNSを『ヘイトが多くて息苦しい』と感じる人もいる。その点、写真は感覚だけを発信するので批判されにくい。他人に与える情報量を減らせば周囲を傷つけることもなく、炎上騒ぎにも巻き込まれないで済むというわけです」

 反対意見には耳を塞ぎ、良いと思い込んだものを発信し、他人に共有して貰う。そんな快感が手離せないのだといい、

「文章で説明して分かって貰うSNSでは『いいね!』を量産できませんが、写真なら一目見た印象が全て。ですが、そのために出かけて写真を撮るなんて浅はかだし、『いいね!』としか言われなければ人はどんどんバカになる。実際に今、小学生でもインスタグラムを使いこなしているくらいです」

 つまりは、それほど単純なツールというわけで、

「インスタ映えするとされている食べ物やスポットの多くは、鮮やかな原色がメインであることが多い。ビジュアル的にも目立つので見る人の注意を引きつけるわけですが、目立つものを好むとは、原始人の感覚と一緒です。大体『いいね!』も、若い子たちの『かわいいー』『ヤバーい』にしても、語彙がないからバリエーションもない。そんな承認を得るために手間暇をかけるなんて、愚の骨頂です」

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