政治家も芸能人も、会見を見え見えの“嘘”で言い逃れるワケ
悪いことをしたら、謝りなさい
素直に認めて謝罪した代表例が落語家の桂文枝(74)だ。元女性演歌歌手の暴露は、桂文枝の全裸写真の公開にも及び、写真週刊誌「FRIDAY」(講談社)が掲載した。しかしながら、涙ながらの謝罪会見に対し、世論が追討ちをかけることはなかった。
同じお笑いの世界で、逆の結果を招いたのは、宮迫博之(47)だ。謝罪しながらも「オフホワイト」とか「ダークグレー」などと強弁し、世論の反発を招いてしまった。
「少なくとも男性芸人の女性関係は『芸の肥やし』として理解を示す風潮が残っています。桂文枝さんの場合は、相手女性の告白が『売名行為』との批判を浴びたことも追い風になりましたが、結局は笑われて幕引きになったわけです。宮迫さんも本当はそうだったはずで、素直に認めて謝っていれば、これほどまで批判を浴びなかったでしょう」
男性芸人だけでなく、女性政治家も基本は同じだと、片田氏は指摘する。金子恵美衆院議員(39)の夫、宮崎謙介前衆院議員(36)が不倫報道で16年に議員辞職。日本の政界も、要求される性的モラルが高まったとの声もあったが、片田氏はそういう風潮に疑問を投げかける。
「確かに宮崎氏、今井議員、山尾議員に対し、有権者は厳しい批判を行いました。とは言うものの、明治の頃から、日本で政治家と言えば妾やら愛人がいて当り前という社会的認識がありました。それがいいとは思いませんが、『政治家だから、愛人の1人や2人いても、きちんと仕事をしていれば、どうということはない』というのがフランス人の考え方です。アメリカのクリントン大統領が研修生との『不適切な関係』で弾劾された時も、『あくまでも個人的なことなのに、アメリカ人はヒステリックな反応をする』と、冷ややかに眺めていました」
有権者という不特定多数の支持を得ることが仕事なのだから、複数の異性と交際して当然……というのは言い過ぎにしても、今井・山尾の両議員が素直に不倫関係を認めた上で謝罪していれば、また違った展開になったのかもしれない。
「今井議員の場合は、どうしても『政治家としての資質に乏しい客寄せパンダ』という別の批判要素があるので厳しいかもしれません。一方、山尾議員の場合は、少なくとも幹事長候補として名前が挙がったのは事実です。政治家としての評価は決して低くなかった。そんな彼女が全てを認めて頭を下げ、『身辺も整理するし、政治家として一から出直す。今後も指導鞭撻をお願いしたい』と反省の色を示せば、たとえ民進党を離党しても、次の選挙で復活する可能性もなきにしもあらずでしょう」(同)
嘘を巡る精神・心理分析は、やはり極めて深く、面白い。しかしながら、凡庸な教訓も確認しておけば、「悪いことをしたら、謝りなさい」は真実だということだ。
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