大相撲“空き場所”になった秋場所 角界の高齢化
堅実な将来設計のため
「スポーツ界全体で、選手生命は確実に伸びてきていますよね」
と指摘するのは、元横綱若乃花の花田虎上氏だ。たしかに、サッカーならカズ、野球ならイチローという名がすぐ浮かぶが、
「そういう人を目標に、1日でも長く現役を続けようとしているんじゃないでしょうか。三役以上の方は多くが引退後も相撲界に残られるでしょうが、いつまでいられるかわかりませんから。堅実な将来設計が、いまの高齢化の背景にあると思います」
休場組には高安ら20代の力士もいるが、
「僕がケガ多発の原因だと考えるのは体重増。大きな相手に対抗するため仕方ないところもありますが、アンバランスなほど目方を増やすと、腰、ひざ、足首に大きな負担がかかります」
実際、高安の体重は182キロ。宇良は135キロだが172センチという身長を考えると太りすぎだという。杉山氏も大型力士について、
「前の動きには強いが、横の動きへの対処はいまひとつで、無理をすればケガの原因になります」
と懸念を示し、同時に巡業の日程が過密すぎると話す。それについては、さる元力士も打ち明ける。
「関取衆は“部屋の稽古より全然楽ちん。巡業、天国だぜ”みたいに言っています。実際、巡業でガチに稽古する人は少数で、毎晩飲みに行って、帰ってくると体がダラッとしている。絞れていないんです」
要は、ダメになるための巡業だそうで、しかも、
「連日のバス移動についてはみなこぼしてます。窮屈で“身体が痛い”“つらくて仕方ない”と」
こうしてダメになった関取が、どんどん高齢化。ダメになるわけである。
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