核で驕る北朝鮮 巨大ダム・水力発電所建設で「万人単位の死者」説
日本人には信じられない巨大計画
報道では発電所の建設には、現時点で青年突撃隊約1万人と、従業員が3万人ほど従事していると明かし、その上で《端川発電所の建設が成功するかどうかが、金正恩政権の民心の行方を決定し得るし、したがって、金正恩体制の運命に影響を与え得る》と解説している。指導者層にとっても一種のギャンブルという巨大事業なのだ。
別の消息筋は、そもそも端川発電所の設計は、植民地時代に日本側が手がけたものだが、《膨大な作業量と地理的不安定のために建設を放棄した》と証言。更に《金日成も1980年代に西海閘門、端川発電所のいずれを建設するのかをめぐりかなり苦心したと聞いている》とも明かしている。
ラジオ・フリー・アジアが明らかにした建設計画を、箇条書きにしてみよう。
①端川発電所は160kmの水路を通し、落差を利用して電気を得る。8つのダムと発電所が建設される。
②一日平均の建設労働者は40万人。完成すると合計の発電容量は200万kw。
②2020年までに完成する計画だが、たとえ人材と資材が確保されたとしても2025年までに完成するのは難しい。
③建設に必要な人材とセメントの量も膨大だが、数十万トンを超える鉄筋を適時に確保できるか疑問。
④流動的な地質層と石灰岩層も工事中断の要因で、建設に失敗すれば、金正恩政権には大きな打撃。
日本は島国であり、北朝鮮はユーラシア大陸に位置している。簡単な比較はできないが、それにしても示される数字は、我々にとっては信じられないものばかりだ。
まず総発電量200万kwと言うが、日本では揚水式の最大が奥多々良木発電所(兵庫県朝来市)で193万kw。揚水式を除くと、奥只見発電所(福島県檜枝岐村)で56万kwだ。ちなみに奥只見ダムは日本一高い重力式コンクリートダムで、小説『ホワイトアウト』(真保裕一・新潮文庫)のモデルという説もある。
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