SPEED辞任「橋本健・元市議」が神戸地検に白旗を掲げる理由

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異例だった野々村「号泣」元県議の起訴

 ご記憶の方も多いだろうが、橋本氏は当初、詐欺疑惑を否定していた。口裏を合わせようとした裏工作も明るみになり、赤っ恥をかいている。詐取を認めたのも本人の発言ではなく、自民党調査団の発表によるものだ。郷原氏も、その点に注目する。

「詐取疑惑の報道を受けて、最初は否定していたにもかかわらず、その後、印刷物の発注先とされていた業者が橋本氏の説明を否定、橋本氏に口裏合わせを頼まれたことも明らかにしたことで、詐欺を認めざるを得なくなったというのは、明らかに不利な情状です。なぜ、そのような見え透いた嘘をつこうとしたのか、取調べでは、納得できる理由の説明が求められることになります」

 では最終的に、橋本氏は起訴されるのだろうか。現時点での予測という無茶な依頼に、さすがの郷原氏も「うーん」と唸る。

「起訴か不起訴かといった、ぎりぎりの決断を迫られる検察の現場から遠ざかって相当な年月が経ちましたが、今回の事件での橋本氏の処分は、神戸地検にとってもかなり微妙だと思います」

 政活費の不正問題だが、以前はそれほど社会的関心も高くなかった。それを変えたのが、野々村竜太郎「号泣」元県議だ。15年9月6日に産経新聞が掲載した「神戸地検の『号泣県議』在宅起訴なぜ 政活費流用『一罰百戒』込め」の記事は興味深い。

 産経新聞は、もともと《議員が不正支出を指摘されると返済することが多く、起訴猶予を含め不起訴処分になるケースがほとんど》だったと指摘する。そのために野々村氏が《神戸地検が8月、詐欺などの罪で在宅起訴し、神戸地裁で開かれる刑事裁判に出廷する》ことは、《在任中に受け取った政活費計1834万円を全額返済》していることを考えると、《起訴にまで至るのは異例だ》と驚く。

 そして《検察が“巨悪”でもない元地方議員を許さなかったのはなぜか》と疑問を投げかける。

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