北朝鮮の「核ミサイル」を迎撃できない現実 “新兵器”を押し付け合う陸海空

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現場からも疑問の声

 陸自の元将官も言う。

「メディアは『6年連続で増額』と騒ぎますが、我々からすれば特異な分野に予算が偏っている感じです。最近ではミサイル防衛や水陸両用部隊、いわゆる日本版海兵隊など。前者は北朝鮮のミサイルを迎撃し、後者は尖閣諸島を中国から防衛するために必要だとの説明は、国民には分かりやすい。世論を背景に政治家や財務省にも訴えやすいのですが、限りある予算をそうした部分にばかり割くことには、現場からも疑問の声が上がっています」

 というのも、

「5兆円超のうちおよそ4割は人件・糧食費、つまり自衛隊員の給与と食事代に充てられます。また3割は過去の国庫債務負担行為の支払いに消える。これは、ある年度の契約分について支払いを翌年度以降に繰り越すものです。護衛艦など巨額の装備は単年度予算では賄えないので、ローンを組むのです」

 すなわち防衛予算の7割は、すでに使途が確定している固定費であり、

「残った3割についても、2割強は一般物件費として基地や装備の維持整備に充てられる。結局、新規装備の取得に使えるのは、わずか1割弱でしかないのです」

 この1割弱を陸海空で分け合うことになるのだが、

「鳴り物入りで登場するイージス・アショアも、一体誰が運用するのか。最も人員が多いのは陸自なので、海自や空自は『陸がやればいい』と口を揃えます。イージスシステムの運用経験があるのは海自だけなのに、彼らからすれば、選りすぐりのエリートであるイージス艦乗組員を陸に上げるなんて、もっての外というわけです」

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