「女生き人形作家」詐欺 逮捕の陰に皇室ゆかりの尼寺

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異常な出入金回数

 他方、堀の母親は、

「佳子は渡辺に言われるがまま、父親に7000万円を引き出させたり、家族で住んでいた実家の土地を抵当に入れるなどして9000万円弱の借金を背負った。私が知っているだけでも1億5000万~1億6000万円分の資産が消えていきました」

 と言って苦虫を噛み潰す。実際、一家は11年に自宅を失った後、別邸に引っ越しをするのだが、あろうことか渡辺も付いてきた。

 その後、同居に耐えかねて家を飛び出した堀を匿った人物によると、

「彼女は“相談に乗ってください”とやって来ました。“渡辺という女に生命保険をかけられた”“合計で約7億円を取られた”とも言っていた。信じられなかったので、通帳を見せてもらったのですが、驚きましたね。確かに、出入金の回数が異常で、額も4億6000万円ほどにのぼっていました」

 尼寺側に質すと、代わって顧問弁護士がこう答える。

「渡辺がカネを寺に渡していたことは、間違いがない。ただ、その出所が堀なのか誰かはわからない。けったいな事件ですわ。(億単位が動いたのかについては)そんなにありません、ほんとに。桁が違いますわ」

 生き人形以上に、「きょうてえ」なシナリオが用意されているようなのだ。

週刊新潮 2017年9月14日号掲載

ワイド特集「秋の鹿は笛に寄る」より

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