民進「前原誠司」新代表、共産党と決別も掲げる“共産的傾向”
これでコケたら後がないという崖っぷちで発足した「前原民進党」。が、掲げる政策を読むと、共産党的な香りがプンプン漂ってくるのである。たしか、前原氏は保守派で共産党との連携にも否定的だったはず。そこにはブレーンの存在と複雑な党内事情が――。
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かつて読売新聞の渡辺恒雄主筆やセゾングループの堤清二氏がそうであったように、昔の若きインテリは共産主義の洗礼を受けたものである。ところが、民進党の前原誠司新代表は、55歳にして左翼に目覚めてしまったのであろうか。いやいや、ご当人は民進党でも指折りの「共産党嫌い」で新自由主義者だったはず。
ところが、9月1日、民進党の代表選で前原氏が開陳した決意表明〈オール・フォー・オール〉を聞けば、どうしてしまったのかと首を傾げざるを得ないのだ。
ともあれ、演説の要旨を、改めて紹介しよう。
〈親の所得が400万円以下の子供の大学進学率は31・4%に対し、1000万円以上の家庭の子供は62・4%。倍になります。私は親の所得によって子供の機会平等が変わる社会はおかしいと思います。(中略)つまりは格差が再生産をされている。それが今の日本の姿ではありませんか? 私はこんな不平等な社会を変えたいと思っている。ぜひ皆さん、我々ですべての子供に平等な社会を作ろうではありませんか〉
〈オール・フォー・オールで最低限の暮らしを“施し”でなく権利にしたい。まじめに納税している皆さん方に、それがあなた自身のためだと実感できる社会にしたい!〉
「格差」や「不平等」を連発するあたりが、かつての前原氏と違うのだが、ご当人の公式サイトを覗くと、目指すはヨーロッパのような国々なのだという。
〈スウェーデン(56・0%)=国民負担率・編集部注=やデンマーク(70・7%)のような高負担をいきなりめざすのではなく、主要先進国で平均的な税負担であるドイツ(52・5%)と軽い税負担であるイギリス(45・9%)の間くらいの国民負担を軸に、今後の負担のあり方を議論していきます〉
つまり、経済成長よりも消費税をうんと上げて分配に充て、格差社会を無くしたいというわけだ。が、北欧諸国の消費税が高いのは言うまでもなく、イギリスとドイツでも20%前後。再来年10月に消費税を10%に引き上げるだけでも大ごとなのに、ずいぶんと大風呂敷を広げたものだ。
また、前原氏が目指すイギリス・ドイツ並みの負担率が実現できたとしよう。だが、例えばイギリスでは日本以上に収入による大学進学率の格差があることをご存じなのだろうか。どの家庭でも大学進学率を同じにするべきと言うのなら、最終的には収入を同じにしなければ実現しない。それこそ共産主義社会の出現である。政権を狙う野党代表の発言というよりは、左翼活動家のアジ演説にしか聞こえないのはどうしたことか。
すでに報じられているが、前原氏に、このアイデアを吹き込んだのは、慶応大学の井手英策教授(45)だ。
民進党代表選の後に朝日新聞(9月2日付)に載ったインタビューによると、消費税を15%に引き上げるべきと主張している。それによって20兆円が入って来る計算になるが、
〈10兆円を財政健全化に使うと10兆円残る。介護の自己負担8千億円、幼稚園、保育園の自己負担が8千億円。病院の医療費の自己負担が4・8兆円。大学の授業料が3兆円。全部合わせて9・5兆円ぐらい。すべてを無償にはできませんが、国民負担はほぼ消える計算です〉
どうやら前原氏はこの理論に惚れこんでしまったようで、政治部記者によると、
「井手氏の持論は“所得再分配は、すべての人が受益者であるべき”というもの。『ネクスト財務・金融担当大臣』だった前原氏は“これこそアベノミクスに対抗できる政策だ!”と感動し、勉強会の終わりには井手氏を議員会館の外まで出て見送ったほどでした。井手氏が母子家庭で苦労したことも、同じ境遇の前原氏が共鳴した理由と言われています。その後、新橋で一杯やったり、前原氏が小田原に住む井手氏の自宅まで押しかけたりして、酒を酌み交わす仲になったそうです」
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