バド世界一「奥原希望」 関係者が語る“千代の富士級”の太もも

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「頭脳派の選手」

 悲鳴を上げるのも無理はない。身長170、180センチ以上がゾロゾロいる海外の強豪に対し、奥原はわずか156センチ。結果、足腰の筋肉が鍛えられたという。

 奥原の母校・大宮東高校(埼玉)の恩師である大高史夫氏(66)によれば、

「背の高い選手に、まともに打ち合いで勝とうと思ったら敵わない。そこで、彼女は相手が打ってきた時、コート内でいかに早く第一歩を踏み出すか、という練習を繰り返したのです」

 いったいどういうことか。先の今井氏が話を継ぐ。

「素早く落下地点に移動すれば、相手コートの後ろいっぱいまで打ち込め、次に来るショットまでの時間を稼ぐ余裕ができます。おまけに、彼女は打ち込むコースを自在に使い分けられるので、相手を翻弄して隙を作るのが上手い。頭脳派の選手でもあるのです」

 実は奥原、高校卒業後に就職した日本ユニシスの入社試験では、かなりの好成績で周囲を驚かせてもいた。

 恩師の大高氏が続ける。

「奥原は努力家で、スポーツに関する本や動画をみて独習したり、遠征先にも教科書を持ち込み教師からの課題も全部こなしていました。『数学だけは誰にも負けたくない』と話し、試験では普通科の生徒も入れて、学年3位以内から脱落したことはありませんでしたね」

 奥原家は、父が高校の物理の先生、母は小学校で栄養学を教えて、姉も高校の理科教師、兄は医学生という「理系一家」だった。

 改めて、父の圭永さんに尋ねてみると、

「娘が初めてバドミントンをしたのは小1の時でしたが、勉強も得意で特に数学が好きでしたね。親として、もし選手として大成しなければ、将来は学問の世界に進ませたいと思ったこともありましたけどね。子供の時から試合に負けても拗ねることなく、どうしたら次は勝てるか、それを常に考えるような子でした」

 明晰なる頭脳は強靭な肉体に宿った――。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

ワイド特集「天つたふ日ぞ 楽しからずや」

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