どうなる巨大財閥サムスン 49歳御曹司に「懲役5年」
「サムスン」――今や世界的企業で、韓国のGDPの2割にあたる売上高を叩き出す。もはや国家と同格の巨大財閥(チェボル)。その実質的総帥で“3代目”の李在鎔(イジェヨン)氏(49)が、8月25日に懲役5年の実刑判決を受けた。
「“判決は民意で決まる”と言われる韓国ですが、今回もやはり同様でした」
と『悪韓論』の著者で評論家の室谷克実氏は言う。
「何しろ“請託の事実は無かった”としながら、“暗黙的請託はあった”とする奇妙な法理。そんな理屈では、誰でも簡単に有罪にされてしまいます」
昨夏から韓国を揺るがし、朴槿恵(パククネ)前大統領の弾劾罷免に至った一連の「崔順実(チェスンシル)事件」。他の主要財閥も崔の主導する財団への寄付が問題視されたが、立件されたのはサムスンだけだった。
「特に国民の怨嗟の的になったのが崔の娘・ユラの乗馬の件。崔の急所である娘まで素早く取り込んだのは、まさにサムスンの情報力が段違いなためなのですが、今回はそれが仇になり、スケープゴートにされたのです」(在ソウル記者)
しかし、国の屋台骨とも言えるサムスンへのダメージを、彼の国の“民意”は考えないのだろうか。
「実際、そういう考えも根強く、財閥経営者が絡むこれまでの事件でも執行猶予などが付きがちでした。しかし、皮肉なことに現在のサムスンは、半導体の好況で空前の好業績。在鎔氏が特に手腕を揮った形跡もなく、“創業家がいなくても大丈夫じゃないか”という空気なのです」(同)
しかし韓国経済は、家計負債の急増、不動産バブルの危惧、中国向け輸出の不振とまさに曲がり角だ。
「サムスングループの利益のほとんどはサムスン電子1社によるもの。これで半導体の市況が反転したら、グループ解体の可能性もあります」(室谷氏)
2審は半年後か。景気次第で減刑もありえるそうだ。