金融庁「検査局」廃止、企業の経営内容への影響は

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東京五輪以降

 廃止される検査局の業務は監督局に引き継がれ、検査官たちも“移籍”するという。メガバンクの中堅行員によれば、

「これまで金融庁は、銀行が融資する企業の資産査定を重視して検査に臨んでいました。長官就任後、森さんは検査内容を収益確保の聞き取りなどにシフトすると宣言したのです。その言葉通り、ここ数年の検査では資産査定が事実上廃止されただけでなく、営業店への臨店検査はもちろん、通告ナシの“抜き打ち検査”も行われなくなってきていました」

 これまで金融庁は、検査結果を受けて多くの金融機関を処分したことで経済界のみならず、霞が関でも“処分庁”と揶揄されていた。森長官はその悪名を払拭しようと考えているフシもあるが、身内からは不満の声が上がっているという。金融庁関係者がいうには、

「確かに、金融機関の不良債権は減少したが、部局長クラスからは“今後を考えると、検査局を廃止し、資産査定まで止めるのはやり過ぎ”との異論も出ました。実は、麻生太郎金融担当相が数年前から“金融庁は処分庁から育成庁へ生まれ変わるべき”と繰り返し発言してきたことで、森さんがそれを“忖度”して厳しい検査を取り止めたわけです」

 結果、金融機関の経営内容は良くなるのか。

「検査が甘くなったことに加え、マイナス金利の影響で優良な融資先が減少し、金融機関の足元では融資条件が甘くなり、不良債権化する案件も少なくない。東京五輪までは景気の見通しも良いので何とかなるでしょうが、それ以降に、多額の不良債権を抱える金融機関が続出する可能性も否めません」(先のデスク)

 10年後に不良債権問題が起きて、“あの時、検査局を廃止しなければ”と悔やむことにならなければいいのだが。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

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