金融庁「検査局」廃止、企業の経営内容への影響は
銀行が隠そうとしていた獲物はこれなのね~。4年前に放送されたドラマ「半沢直樹」では、片岡愛之助が、オネエ言葉で銀行を追い詰める金融庁の検査官役を“怪演”して話題を呼んだ。一方、現実の世界でも、金融界では金融庁検査が厳しいことは広く知られている。だが、銀行員の恐れる“鬼の検査官”たちが現場から姿を消そうとしているのだという。
金融庁は、前身の金融監督庁から数えて来年で発足20年を迎える。その節目の年を控えて、異例の3期目に突入した森信親長官(60)が“金融行政”の大転換を図ると宣言したのだ。
「まさか、検査局を廃止するとは思いませんでした」
こう驚きを隠さないのは、経済部デスクだ。
「金融庁は、金融機関が抱える不良債権処理が至上命題。同時に金融機関が新たに不良債権を生み出さないために、厳格な検査を実施してきました。その役割を担ってきた検査局は、金融庁の柱。それを廃止するというのですからね」
地銀幹部が検査の変遷を振り返りながら、
「金融庁の前は、大蔵省が検査を担当していました。当時、銀行は検査官たちへ昼は豪華な幕の内弁当を振る舞って、夜は宴席を用意する。むろん、検査は“阿吽の呼吸”。それが金融庁に代わると、検査官は幕の内弁当はおろかお茶にも一切手を付けず、自分たちで買ってきたペットボトルの水を飲んでいました」
当然、検査は厳しくなり、
「ドラマの中で、検査官が重箱の隅を突くようにネチネチと細かい数字の確認を求めてきて、即答できないと“翌朝までに数字を挙げて下さい”という無理難題を吹っ掛ける。翌日に準備できなければ、“説明できないような融資をしているのではないですか”というシーンがありましたが、実際にも似たようなやり取りがあったのです」(同)
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