「茂木敏充」経済再生相、香典でも公選法違反 手帖配布につづき

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「資料と言い張るのは無理」

 贈呈者リストと合わせて本誌(「週刊新潮」)が報じてきた1冊600円になる衆議院手帖の無償配布に関して、大臣側は、8月18日付(ネット公開は翌週)で収支報告書を修正している。

 2013〜15年分を具体的に見てみると……茂木氏が代表を務める資金管理団体「茂木敏充政策研究会」が手帖を購入したうえで、これまた彼が代表を務める政党支部に無償で提供していたことがわかった。

13年 約97万円

14年 約110万円

15年 約122万円

 大臣は取材に対して当初、

「手帖は配っていないんですから、もらった人はいないと思います」

 などと、配布そのものを認めなかった。先の事務所関係者によると、

「前年と今年が同数か、もしくは今年の方が少ない場合は、茂木に“仕事してないんじゃないの?”って感じで叱責されるんです」

 紛れもなく、茂木事務所内の年中行事として存在してきたのである。

 本誌第一報後にしれっと無償配布を認め、それでも公選法違反ではないと言い募っていたのだが、それを3年に亘って訂正したのは、政治資金問題に明るい上脇博之神戸学院大教授の言葉を借りれば、

「政党支部が配布したことにすれば、党員に手帖を配布している限りでは合法だと言い逃れることができる。しかし、そのように訂正したなら、この訂正そのものが政治資金規正法が禁じる虚偽記載に当たる可能性があります」

 ということになる。

 さて、茂木大臣に香典支出の実態を直接ぶつけると、即座に否定せず、

「行き違いがあるといけないから、書面でください。誠実にお答えしますので」

 と仰る。そこで改めて聞くと、代わって事務所は大要こうコメントした。

「通夜・葬儀等に関しては秘書も地域において様々な人間関係があり、参列したと承知している。手帖については、党は常に党勢拡大・政策広報を目指し活動をしており、党員のみならず党員以外の方にも政策の理解や支援拡大の政党活動を行っているところです。(前回の週刊新潮への回答で示した)『政党支部関係者ら』には、党員以外でも自民党の活動にご理解を頂いている方も含まれる」

 これまでは、非自民党員かつ非後援会員など不特定多数に手帖を無償で配布した事実を突きつけられても否定してきたはずが、「党員以外への配布」をあっさりと認めたのである。

 先の上脇氏に改めて検証してもらうと、

「週刊新潮の取材では、香典袋に代議士の名前が記されており、その代金も茂木事務所から出ているということです。したがって、大臣の代理として秘書が選挙区内の通夜や葬儀に出席し、香典を渡していると言わざるをえず、公選法の『寄附の禁止』に違反している可能性が極めて高いです」

 手帖については、 

「要するに、手帖は政策を広めるビラのような資料だと主張したいのでしょう。だからこそ、訂正した収支報告書には『資料代』と計上している。しかし、この手帖には政策が記されているわけでもなく、資料と言い張るのは無理がある。しかも今回、党員以外にも手帖を無償配布していた事実を認めてしまった。つまり、大臣自ら公選法違反を犯したと言っているのと同じことです」

 子分も人望もないが、栃木県出身の国会議員として、小磯国昭以来の総理大臣をひとり見据えている茂木大臣は、ことに権勢欲の強い選良であることはご紹介してきた通りである。

 官邸に入ってくる自身に「総理!」と呼びかける記者の声、解散を発表する会見での雄姿……。そういう夢と長らく同居してきた。しかし、ここで認めれば、それらを諦めなければならない。いや、嘘の再生速度にブレーキをかけることはできない。ヘンダワネ、ウソダワネ、クビダワネ。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

ワイド特集「天つたふ日ぞ 楽しからずや」より

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